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急激な円安進行が日本経済にもたらすリスク

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第379回】 2015年6月8日
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円安がわが国にもたらすのは
プラス面ばかりではない

Photo:カシス-Fotolia.com

 米国金利の先高観などを背景に、足元で円安・ドル高が急速に進んでいる。5月下旬には、約12年半ぶりの水準となる1ドル=124円台に至った。円安傾向が続くと、自動車等のわが国の主力輸出企業の業績は一段と改善することもあり、株式市場は安定した展開が続いている。

 一方、急激に円安になると、海外から輸入する製品などの価格が上昇しやすくなる。食料品など原材料を輸入に依存する業界などでは、コストアップ要因につながることが懸念される。

 コストアップ要因を価格に転嫁できる大手企業には、それほど大きなマイナスは及ばないだろうが、製品価格を上げにくい中小企業などには大きな痛手になるはずだ。

 また一般消費者にとっても、輸入製品が急激に上がると財布のひもを締めざるを得なくなる。わが国のGDPの約6割を占める個人消費の伸び悩みが顕在化すると、ようやく回復してきた景気の腰を折ってしまうことも考えられる。

 もう一つ無視できない点は、大手企業など円安のメリットを享受できる分野と、国内市場中心の中小企業などデメリットを受けやすい分野で大きな格差が生じることだ。  

 原油価格が低位に安定している現在、円安傾向はわが国全体にとってみればプラス要因として働くものの、その恩恵を受けにくい分野が存在することは十分に頭に入れておくべきだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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