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企業統治指針の適用で問う
ソニー精神(スピリット)のあるべき姿

伊庭 保(ソニー社友(元副会長))

ソニーが1958年の上場以来、初の無配に陥った。技術を磨き、市場を創造する革新性への衰えが鮮明になってきた今、エレクトロニクス事業の再生に向けて、求められているものとは何か。元副会長がOB、そして株主の立場から取締役会および現経営陣に問う。

 4月16日、ソニー本社で約2年半ぶりに平井一夫CEO、吉田憲一郎CFO、鈴木智行副社長などの現役役員と、一部役員OBとのミーティングが実現した。

 事前に受け取っていた案内には、「現役役員より経営課題について率直にご説明申し上げ、それを受けた事業・技術領域の具体論について意見交換し、アドバイスを頂戴することを趣旨とした懇談会として」とあった。

 われわれは、経営陣がエレクトロニクス事業を長期的にどの方向に持っていくのかに最大の関心があり、そうした議論を期待してミーティングに臨んだ。

 冒頭、平井CEOから簡単なスピーチがあり、その後吉田CFOから経営の課題と新たな中期経営計画の骨子の説明があった。中計について軽く意見交換をした後、OB側はエレクトロニクス事業の再生に向けて、ロボット事業など挑戦すべき事業領域を示しながら、その道筋を説明した。

 これに対し、鈴木副社長からはイメージングデバイスですでに取り組んでいる分野があるといった説明があったが、平井CEOや吉田CFOからは特に反応はなく、残念ながら期待したような活発な意見交換とはならなかった。

2012年4月の第1次中期経営計画で示した業績目標は、大幅な未達に終わった

 その後、会社側からは一切反応がない。懇談会とあるから、そもそも議論を期待することは早とちりであり、現役とOBとの交流の窓口が開けたという点を評価すべきなのかもしれない。

 現在、ソニーの株価は4000円近くまで上昇し、2008年の金融危機前の水準に迫っており、株式市場は構造改革を評価しているように見える。

 しかし、株主資本と格付けの低下など、まだ解決されていない経営課題が残されているのも事実だ。

 過去を振り返ると、ソニーは特別な会社だった。「自由闊達にして愉快なる理想工場」として、日本の輸出立国・電子立国を切り拓き、その優れたエレクトロニクス製品とともに、経営モデルも先進的だった。

 経営トップの方針や経営理念は明確で、だからこそ社員のモチベーションも高く、みんなが全身全霊でイノベーションを起こし、これまでにない新しい商品やサービスの開発に打ち込み、新しい市場の創造をすることができた。

 しかし、創業50年を境目にして、技術を使って新しい商品やサービスを生み出し、市場を創造するイノベーティブな勢いに衰えが見えてきた。それは経営機構の変更と無縁ではない。

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