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ついに音楽販売のパンドラの箱が開いた

アクセス権に対価を払うモデルはどこまで広がるか

藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]
【第80回】 2015年6月22日
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気合いを入れて作った
オリジナル音楽テープ

 テレビの歌番組を、お茶の間で家族揃って見るのが日課だった中学生の頃、翌日学校へ行くと、クラスの女の子たちが休み時間にピンクレディーの振り付けを一生懸命練習していた光景を、今でも鮮明に覚えています。

 高校生だった1980年代は、アメリカで人気のポップスやロックを紹介するテレビ番組が大人気でした。ここで衝撃だったのは、何といっても最新ヒットチャートのプロモーションビデオの登場です。マイケル・ジャクソンのムーンウォークやダイアナ・ロスの歌う姿を映したビデオが、私たちの世代の心を一気にアメリカまで連れて行ってくれました。

 とはいえ、この頃は自由に使えるお金もあまりなく、欲しい曲のシングルレコードを全て揃えることなど夢のまた夢。FMラジオのガイド誌を買って来ては、ひたすら好きな曲が流れる時間を調べ、ラジカセで聴きながらテープに録音していました。いわゆる「エアチェック」です。

 そんな折、近所にレンタルレコード店ができたことは、私の音楽ライフを大きく変えてくれました。

 これで、エアチェックのように曲のお尻がフェードアウトして切れてしまったりしません。音質も全く違いますし、第一、何回でも録音し放題ですから、自分が好きな曲だけを集めたオリジナルテープを作ることができます。

 人気の曲のシングルレコードは発売直後、レンタルレコード店にいつ行っても貸出中でしたが、粘り強く通って最後の一曲を録音し終わり、完成したテープにタイトルを付けてコレクションするのが、とても楽しかったのです。

 大学入学後に車を手に入れると、これらオリジナルテープが大活躍。特に、気合いを入れて編集したラブソングバージョンは、ドライブ用のBGM用サウンドライブラリーとして、お目当ての女性を口説くためのドライブデートには欠かせないツールとなりました。

 ところが今や、音楽は「配信サービス」で買う時代。近ごろでは、定額制音楽配信サービスが登場し、ストリーミングで好きな曲が聴けるため、1曲ずつ購入してダウンロードすることすら不要。つまり、CDなどを所有することに対してでなく、クラウド上の楽曲データに接続するための「アクセス権」に対価を支払うというビジネスモデルです。

 気合いを入れてオリジナルテープを作っていた時代とは、隔世の感があります。

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藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]

慶應義塾大学を卒業後、味の素株式会社を経て、92年、フィンランド人の社長と二人でザイロフィン ファーイースト社(現ダニスコジャパン)を設立。素材メーカーの立場から キシリトール・ブームを仕掛け、キシリトール製品市場はゼロから2000億円規模へと成長。07年、株式会社インテグレートを設立し、代表取締役CEOに就任。著書に『どう伝わったら、買いたくなるか』『99.9%成功するしかけ』 『漂流する広告・メディア』講演活動も行っている。integrateGroupウェブサイト:http://www.itgr.co.jp/

 


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インターネットなど双方向メディアの普及に伴い、従来の広告メッセージが届きにくい時代になったと言われます。どんな方法なら消費者とのコミュニケーションが成立するのか。「次世代IMC」を掲げる注目のマーケティング企業CEOがその極意を伝授します。

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