200社近くのグループ会社を横断して1万人以上をつなぐSNSがある。一日の書き込みはなんと2000件に達する。そこでは製品アイデアから引越し先の情報まで、多様なコミュニケーションが生まれている。しかも、世話を焼くことなく、ほとんど自律的にまわっているのだ。

 社内SNSはあってもグループ他社まで広げることには躊躇するという企業が多いのが実情だ。しかし、日立製作所を中心とする巨大な日立グループのSNSは、会社の壁をあっさりと越えてしまった。

 では、この日立グループ内SNSは、どのようにして生まれたのだろうか。

トップダウンで実現したグループSNS

 日立グループ内SNS「COMOREVY(こもれび)」は、情報や知識、経験を共有化し、人々がつながるために2008年1月に発足した、国内の日立グループ26万人の誰でも登録できるシステムだ。いまでは1万1000人を超える(2009年12月現在)ユーザーを持つが、情報通信システム関係が約6割、そして研究所や設計部門が多い。ユーザーは、日立グループ195社に渡り、30・40代、そして係長クラスが多く、グループ会社の社長や役員の一部も名を連ねている。

 日立グループは国内子会社385、連結対象会社で海外も合わせると927社を擁しているが、生産に特化した会社も多く、情報通信システム関係でみると195社はおよそ参加し得るグループ会社ほとんどをカバーしているという。

 このグループ内SNSは、トップダウンのプロジェクトである。2005年に新入社員が経営幹部との面接会話の中で、コミュニケーションについて問題提起したこともきっかけの一つ。それからWeb2.0やエンタープライズ2.0といった情報技術の進化が話題となり、また情報共有やコミュニケーションについての問題意識も高まって、トップの意思決定としてグループ内SNS導入が指示されたのである。