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ギリシャ問題に見る預金と借金の教訓

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第383回】 2015年7月1日
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預金者は油断してはいけない!
「決戦は金曜日」で行動を起こせ

 ギリシャがいよいよデフォルトに向けて動き出したように見える。6月30日が期限のIMF(国際通貨基金)向けの返済ができない見通しだ。事態は目下まだまだ流動的だが、ここまでの推移での注目点を、特に日本人にとっての教訓の観点からいくつか指摘してみたい。

 今後の日本の国家財政が、ギリシャのような事態を迎えるようには思えない。また、現在、経営が逼迫していて破綻の瀬戸際にあるような銀行が、今の日本にあるようには見えない(筆者が知らないだけで存在する可能性はあるが)。

 しかし、数年後くらいに、日本の預金金融機関、例えば、地方銀行や信用金庫などが、資金運用の失敗から破綻することは、十分あり得るように思われる。

 政府の中長期予想では、2018年度には長期金利が3%程度まで上昇すると予想されており、債券ポートフォリオの金利リスクが顕在化する可能性がある。また、現在の利ザヤがごく小さいかマイナスの状況で、運用に目下「相当な無理」(例えば、当面利回りを稼げるが、潜在的に大きなリスクを抱えたデリバティブ商品への投資)が積み上がっている可能性があり、このリスクが表面化するのは2、3年経ってからだろうと推測するからだ。

 金融機関の破綻が起こった場合、預金が完全に保護されるか否かは、予断を許さない。

 実は個人的に、ここしばらくギリシャの報道を見ていて気懸かりだったのは、特に先週の時点で、なぜギリシャの人々が銀行に殺到して、ユーロ建ての預金を下ろすなり、海外の銀行に送金するなりしないのかだった。

 そして、案の定、週末には、銀行の預金引き出し制限が発表された。

 ギリシャ国内では、一部の預金者が預金の引き出しを始めていることが十分報道されていなかったのかもしれないが、預金者は、先週、「週末」を迎える前に手を打つべきだった。

 今回ギリシャで取り付け騒ぎが起こって破綻した銀行のニュースが無いということは、多くの預金者が「逃げ遅れた」ということを意味する。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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