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40代からの人生の折り返し方 野田稔

年収アップ転職ほど危険なものはない

野田 稔 [一般社団法人 社会人材学舎 代表理事]
【第11回】 2015年7月6日
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「お金は魔物」――年収アップ転職には要注意!

 今回はまず転職に伴う年収の問題を考えてみよう。結論から言うと、年収にこだわる転職はまず失敗する。

 自分や自分の家族が生活するのに本当はいくら必要なのかをわからずに、今もらっている給与を下げたくないと、年収に固執する転職は、ほぼ失敗するということだ。

 「お金は魔物」――そのことを念頭に置いて、今回の話を読んでほしい。

給与が高ければ当然期待値も高い
その期待に応えられるか?

 転職で頻繁に聞くのが、「今の年収をキープできればそれでいいです」というセリフだ。一見、謙虚で分をわきまえているような発言だが、私に言わせれば大甘だ。

 給与を下げたくないという気持ちはよくわかるのだが、規模の小さな会社に転職すれば、同じ仕事ならば給与は下がるのが通例だ。同じ業界への転職ならば、今よりも高いパフォーマンスを発揮しなければ、間違いなく給与は下がる。

 「ならば、高いパフォーマンスを発揮すればいい」と思うかもしれないが、それができるのであれば、今の会社で冷遇されているはずがない。きついことを言うようだが、冷静に自分を見つめてほしい。今の自分の処遇、会社からの期待は本当に不当なものなのか。実力・実績は本当に不当に低い評価なのか。よく考えてほしい。

 よくよく考えてみれば、多くの場合、自分が会社からの期待に応えられていないとわかるはずだ。だとしたら、次の同業他社でどうして今まで以上のパフォーマンスが発揮できるというのか。

 もちろん例外はある。同業他社への転職で昇給する例もなくはない。かつてサムスンが液晶技術者を大量にスカウトしたように、その会社にない技術やノウハウを持っている場合がそれだ。海外の新興メーカーであれば、これからもそうしたこともあるだろう。しかし、そういった“時間差型高給転職”が、長い目で見ても安全で得策かと考えると、何とも微妙な話だ。ブレインピック(知識を吐き出す)されて放り出される例が後を絶たない。3年契約が1年半で契約打ち切りというのはよく聞く話だ。

 では業界をずらせば年収は間違いなく上がるかと言えば、それもNOだ。むしろ、当初は給与が落ちるケースの方が多い。会社の規模が小さくなる場合も多いだろうし、その業界での実績もないわけだから、高い年収を期待するのは難しい。

 もちろん、巧みな交渉術を駆使して自分を売り込み、高い年収を最初から得ることも可能ではある。ところが、これが実に危険なのだ。

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野田 稔 [一般社団法人 社会人材学舎 代表理事]

明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授/株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所 特任研究顧問。野村総合研究所、リクルート社新規事業担当フェロー、多摩大学教授を経て現職に至る。日本テレビ系列「ズームインスーパー」、NHK総合「経済ワイドビジョンe」「Bizスポワイド」、NHKEテレ「仕事学のすすめ」などメディアでも活躍。主な著書に『組織論再入門』『中堅崩壊』(以上ダイヤモンド社)、『二流を超一流に変える「心」の燃やし方』(フォレスト出版)『企業危機の法則』(角川書店)など多数。


40代からの人生の折り返し方 野田稔

40代は時計で言えば、ちょうど昼の12時を回った人生の午前中が終わったばかりだ。人生折り返し、1日に例えれば、午後をいかに過ごすか。黄昏が訪れる前に上手に人生を折り返す方法をこの連載では考える。

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