ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
岸博幸の政策ウォッチ

安保法制を違憲とした憲法学者たちの現実知らず

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第12回】 2015年7月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

前回、国会で審議中の安保関連法案について自分なりに考え方を整理してみたところ、(私は政権の経済運営にはかなり批判的であるにも拘らず)「安倍政権の犬!」といった厳しい批判をいただく一方で、「必要性が分かった」という肯定的な意見もいただきました。その中で、「ではなぜ憲法学者は違憲と判断したのか?」という疑問も寄せられましたので、今回はその問題について考えてみたいと思います。

憲法第9条を扱った最高裁判例は
平成以降、わずか2件という現実

なぜ憲法学者は安保法制を違憲と断じたのか?

前回書いたように、少なくとも日本が直面する安全保障の現実からは、安保関連法案の必要性は明らかではないかと個人的には思います。それにも拘らず憲法学者が違憲と断ずる理由を自分なりに推測してみました。

 法律学の世界では憲法、特に第9条を巡る研究や論争が、実際に起きている紛争をいかに裁くか、権利のぶつかり合いをいかに解決するかといった現実を対象にしたものになっていません。そのため、条文の教条的な解釈の中で研究者の主観的な思いや自制が優先してしまっているからではないでしょうか。

 例えば民法、会社法、税法といった法律に関する法律学の研究は、現実に発生した争いを裁く上で、法律の条文の解釈は如何にあるべきかというアプローチが中心になっていると言えます。

 ところが、憲法第81条(「最高裁判所は一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」)が規定するように、有権的な憲法解釈を行なう権限を有するのは最高裁判所であるにも拘らず、特に最近は、最高裁が判決の中で憲法解釈を行なった事例が非常に少ないのです。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


岸博幸の政策ウォッチ

小泉政権時代に竹中平蔵氏の秘書官を務め、数々の構造改革を立案・実行した岸博幸氏がテレビや新聞が決して報じない知られざる政治の裏側を暴きます。

「岸博幸の政策ウォッチ」

⇒バックナンバー一覧