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岸博幸の政策ウォッチ

デルタのスカイマーク支援は歓迎していい話か

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第13回】 2015年7月24日
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本記事のオリジナルは7月24日に公開しましたが、有り難いことにデルタ航空の側から当記事に対して反論・意見を寄せてくださいました。そこで、本文中にデルタの意見を追記として加えさせていただきます。というのは、本来、あらゆる物事についてどれか一つだけの考え/見方が正解ということはなく、複数の正解が存在するのであり、その中で個々人が自分で考えて自分なりの正解を考えることが大事だからです。そうした観点からは、読者の皆様に私とデルタの意見を示し、その双方を読んだ上でスカイマーク問題について自分なりの考え方を確立していただく良い機会と思います。(2015年7月29日更新)

 

スカイマークはデルタによって本当に再建されるのか Photo by Toshiaki Usami

 デルタがスカイマーク支援に名乗りを上げました。もちろん、航空機リース会社イントレピッドが提案したスカイマーク再建策でのスポンサー候補になっただけで、出資まで行なうのかはまだ不明です。

 しかし、これを最初に報じた日経が“国内線の競争促進”を理由にデルタ参戦を歓迎するトーンを打ち出して以降、ほとんどの新聞がその論調を続けているように見受けられます。しかし、デルタによるスカイマーク再生は本当に望ましいのでしょうか。

デルタと提携するメリットとは?

 デルタがスカイマーク支援に名乗りを上げた最大の理由は、デルタ日本支社長がメディアに述べているように、日本での提携航空会社が欲しいということでしょう。デルタのライバルである米航空大手のアメリカンがJAL、ユナイテッドがANAと組んでいる中、デルタだけが日本国内線の提携先がないことを考えると、これは当然と言えます。

 しかし、ではデルタとの提携がスカイマークの再生にどれだけ貢献するかを考えると、効果はたいして大きくないと言わざるを得ません。

 というのは、デルタの日本でのハブ(拠点)空港は成田であり、羽田ーシアトル路線も今秋に廃止される(羽田―ロサンゼルス路線は継続)ことを考えると、成田のデルタと羽田のスカイマークではコードシェアが困難だからです。

 スカイマークの再生に航空会社が関与する意義の一つは、コードシェアなどによりスカイマークの利用者数を増やすことです。しかし、そもそもデルタの日本国内での営業力が貧弱であることに加え、コードシェアで米国からの旅行者の利用も増やせないならば、それでスカイマークの再生にどこまで貢献できるのでしょうか。

※「そもそもデルタの日本国内での営業力が貧弱であることに加え、…」について

デルタ航空:「デルタ航空は、日米路線および日本の旅行市場で最も人気の高いリゾート行きの路線で高いシェアを維持しています。特に日本人のお客様が95%を占める路線、例えば、日本-ハワイ間路線で約30%、日本-グアム・サイパン間路線では約40%のシェアを有しています。日本で運航を開始してから67年間運航を継続しているので、営業力が貧弱ということはありません。」

 ちなみに、デルタは来年3月に成田―関空線を就航予定で、デルタ日本支社長はそれをスカイマークに担わせる可能性に言及していますが、それがスカイマークの収益にどこまで貢献するか甚だ疑問です。むしろ収益面からはお荷物路線になる可能性もあるのではないでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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小泉政権時代に竹中平蔵氏の秘書官を務め、数々の構造改革を立案・実行した岸博幸氏がテレビや新聞が決して報じない知られざる政治の裏側を暴きます。

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