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黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

「30代社員」を食い物にする職場に
見切りをつけろ!(上)

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第25回】 2015年7月28日
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仕事量に対して、賃金がワリに合わないことも少なくない30代社員。それを不満として出すと「協調性がない」「組織に向いていない」と異端扱いされることも。30代社員の悲鳴が今日も響き渡る

 今回は、ある30代の男性会社員が転職にいたるまでの「心の軌跡」を紹介したい。30代は、20代と比べて仕事が増える一方で、まだそれにふさわしい権限を会社から与えられないことが多い。仕事量に対して、賃金がワリに合わないことも少なくない。40~60代と20代の間に挟まり、職場のピエロのような「笑い者」的な扱いを受けることすらある。次第に、理不尽で解せない思いになってくる。

 会社や上司たちは、そんな不満を持つ30代社員を「協調性がない」「組織に向いていない」と異端扱いする。何もわからないはずの20代も、無責任な40~60代も、その空気に同調する。いつしか、30代は孤立していく。

 実はそれらは、会社が巧妙に進める「レトリック」なのだ。損をする者を組織的につくることで、自分たちの立場を守ろうとする、不当なからくりとも言える。それに気がつかないようにするために、彼らは「30代包囲網」をつくるのである。あなたの身近にも、このような人たちがいないだろうか。


「身勝手なことを言わないで
もっときちんと仕事をしないと……」

 清水(37歳)はさっきまで自席にいたが、今にも怒鳴りたくなる思いを抱き、喫煙室に駆け込んだ。タバコを吸いながら、こう思った。

 もう、この会社を辞めよう――。いつまで、こんな会社に残るんだ……。

 たった今、女性上司の平田(49歳)から、広報部の部員5人がいる前で叱られた。老眼鏡をかけ、上目づかいでこちらを睨みつけていた。

 「清水さんは、身勝手なことを言わないで……。もっときちんと仕事をしないと……」

 平田は女性だけに物言いは柔らかだが、きっぱりとした口調でこう言う。この場合の「きちんと」とは、清水が他の部員の仕事の分まで抱え込まなければいけないことを意味している。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

 ここ10数年の間に社会環境が大きく変わり、人々のホンネとタテマエに対する価値観が揺らぎ始めている。それを具現化しているのが、今の企業の職場ではないだろうか。これまでは、ホンネとタテマエが絶妙にバランスしながら、人間関係が維持されてきた。しかし、企業社会において生き残り競争が激化し、「他人より自分」と考えるビジネスパーソンが増えるにつれ、タテマエを駆使して周囲を蹴落とそうとする社員が増えている。

 誰もが周囲を慮らなくなり、悪質なタテマエに満ち溢れた職場の行きつく先は、まさしく人外魔境。そこで働く社員たちは、原因不明の閉塞感や違和感、やるせなさに苛まれながら、迷える仔羊さながらに、次第に身心を蝕まれて行く。この連載では、そうした職場を「黒い職場」と位置づけ、筆者がここ数年間にわたって数々のビジネスパーソンを取材し、知り得たエピソードを基に教訓を問いかけたい。

「黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史」

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