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平井 陽一朗の人材「共育」日誌

「社長失格」の挫折を経て、
私はなぜコンサルタントに戻ったのか?

平井陽一朗 [ボストン コンサルティング グループ パートナー&マネージング・ディレクター]
【第5回】 2015年8月5日
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 「上場会社の社長を経て、なぜまたコンサルタントに戻ったのか?」

 BCGに戻ってからのこの3年、私が一番多く受けた質問の1つです。この答えには私自身の「成長観」が密接に絡んでいます。

 今回は、私がディズニーからオリコンに転職して経営者の道を歩み、そこからまたBCGに戻るまでの間、何が自分を突き動かしていたのかについて、考えてみたいと思います。

即断即決を目の当たりにする
オリコン小池社長から受けた衝撃

前回書いたように、念願のエンタテインメント業界のド真ん中で充実した日々を送っていたディズニー時代に、オリコンの小池恒社長とランチをする機会に恵まれます。当時流行っていたWeb2.0や、オリコンの抱えている課題、今後目指す方向性、お互いの経験などについて語り合ううちに、あっという間に時間が過ぎ、続きはオリコン社を訪問してお話しすることになりました。

「会社を経営する」という事を真剣に考え始めた32歳の頃

 後日会社に伺うと、その席で小池社長が「是非、うちの副社長に」というお話を切り出されたのです。少し面喰らいましたが、この即断即決には即断即決をもって応えるべきだという直観に従い、その場でお受け致しました。32歳になった秋のことでした。

 実は、その時が初めてだったんですね。会社を経営する、という事を私が真剣に考え始めたのは。当時オリコンは既に上場しており、小池社長のお話の端々には、様々なステークホルダーを意識された言葉が散りばめられていました。これがまず初めての事でした。それまでは、投資家や株価などは自分とは縁遠いものでしたし、人事や組織について経営視点で考えることもほとんどありませんでした。どちらかというと、顧客にウケるサービスを考える、といった事により焦点を合わせていました(これはこれで決して間違いではないのですが)。

 それだけに、今日の舵取りが明日の会社の運命を左右する、決断の連続のような毎日を送り、小規模であるが故のダイナミズムの中で、日々戦うオリコンの幹部、とりわけ小池社長に経営の本質を垣間見て、衝撃を受けました。自分には、ただ忙しいとかではなく、何かを背負って戦う、修羅場をくぐる、といったリアルな経験が決定的に足りない、今後一段大きなステージで事を成すためには、これは必要不可欠な経験だと思えたのです。

 若い頃から数々の修羅場をくぐり、ストリートファイトの経験をされてきた小池社長だからこそ、たった2回会っただけの若造を、上場企業の副社長に据えるという決断が可能だったのだと思います。そうした決断を瞬時に行える能力に魅かれたのも、挑戦を決めた理由の一つです。

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平井陽一朗[ボストン コンサルティング グループ パートナー&マネージング・ディレクター]

ひらい・よういちろう/ボストン コンサルティング グループ(BCG) パートナー&マネージング・ディレクター。1974年、東京都生まれ。米国の公立高校を卒業後、東京大学経済学部卒業。三菱商事を経て、BCGへ入社。その後、ウォルト・ディズニー・ジャパン、オリコン取締役副社長兼COO、ザッパラス代表取締役社長兼CEOを経て、再びBCGに入社、現在に至る。ネットサービス系企業における経営経験などを活かし、デジタルコンテンツやEコマース領域などを中心に、企業戦略や事業開発、グローバル戦略等、数多くのプロジェクトを手掛ける。


平井 陽一朗の人材「共育」日誌

「育成」は本当に難しい。例え育成の仕組みが充実していても、育てられる側に成長への意欲がなければ成立し得ません。かといって「成長なんて自己責任」で片づけてしまえば、永遠に「育成」というものに対する解を得られません。それでは、育成がうまくいっているように見える会社とそうでない会社とでは何が違うのでしょう。そうした悩みの中で、私平井陽一朗が所属していた三菱商事、ボストン コンサルティング グループ、ディズニーなどの企業で得た経験を振り返り、「育つ」「育てる」という難しいテーマを考える端緒にしたいと思います。人材育成で悩んでいる方や、社会人として成長していく過程にある方にとっても、何かしらのヒントがあるはずです。

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