「お宅の会社の製品に毒を入れる」

 こんな物騒な脅迫状や犯行声明を、企業に送りつける事件は昔からありました。脅迫状というくらいですから、手紙が送られてくるのが普通でしょう。ところが最近は、企業や有名人への脅迫や犯行声明・犯行予告がネットの掲示板上に書き込まれるケースが発生しています。そして、手紙を書くよりも気楽に書き込めるので、その件数は増える傾向にあります。

ストレス発散のために
脅迫文を書き込む人たち

 ネット掲示板の「2ちゃんねる」にJR新宿駅の爆破予告を書き込んだとして、23歳のアルバイトの男性が逮捕されました。2ちゃんねるには2006年7月から9月までの間に、都内の主要駅への爆破予告や小学校への襲撃予告などが50件以上も書き込まれていて、ほとんどはこの犯人の仕業だったようです。警察の取り調べに対して犯人は、

 「仕事をやめて、住むところもなくなってしまい、むしゃくしゃしていた。その腹いせに世間を騒がせてやろうと書き込んだ」

 と話しているようです。ストレス発散の目的でいいかげんな書き込みを続けた青年のために、駅の警備を強化する対策など、多くの関係者が巻き込まれました。とんだ迷惑な話です。ネット掲示板に書き込まれるこのような犯行予告の逮捕者数を以下の図にまとめましたので、ご覧ください。2003年から急増しているのがわかります。

ネット犯行予告の逮捕者数の推移
ネット犯行予告の逮捕者数の推移

ウソと本当を
見分ける難しさ

 ネット掲示板の犯行声明は、2000年の西鉄バスジャック事件で一躍注目を集めました。犯人の少年が事件前に犯行予告を2ちゃんねるに書き込んでいたからです。その後、この事件に影響を受けたと思われる事件が2件起きています。