ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知ればこの複雑な世界が手に取るようにわかる
【第1回】 2015年8月1日
著者・コラム紹介バックナンバー
惠谷 治 [軍事ジャーナリスト]

尖閣諸島に中国が介入すれば、
本当に日米安保条約は発動されるのか?

1
nextpage

新聞やTVの断片的な情報だけでは、めまぐるしく変わる世界情勢は根本的には理解できない。ニュースの前に、知っておくべき基礎知識というのがある。
私の『アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知れば、この複雑な世界が手に取るようにわかる』という著書の中で、この「知っておくべき」基礎知識を集めたが、その中の1つ、日米安保条約の現在を紹介する。アメリカが弱体化しているかもしれない、と言われる現在、知っておくべきポイントである。

尖閣諸島に中国が介入すれば、
本当に日米安保条約は発動されるのか?

 2012年、アメリカのパネッタ国防長官が来日した際、日米会談の席で、「アメリカは主権に関する紛争で、いずれの肩も持たない」と述べた。

 つまり、尖閣諸島問題に日米安保は関係なく、中国と衝突しても米軍は出さないとの宣言である。この発言は、日米安保や基地を抱える日本を動揺させた。ちなみに、アメリカが沖縄の基地にこだわる理由は、ソウルや北京、上海やマニラなどアジアの要所に短時間でいける戦略地点だからである。

 中立的な立場を示したアメリカだったが、その2年後の2014年、4月に来日したヘーゲル国防長官は、会談終了後の共同記者会見の冒頭で、紙を読まずに正面を向いたままこう述べた。

 「米国は一方的で抑圧的な行動、日本の政権を軽視する行動に反対の立場をとる」。

 この発言により、安保条約は発動されると明言されたといえる。ヘーゲル長官は、尖閣諸島で米国は「中立」だと中国が誤解しているという疑念を払拭させるため、明確に言ったのだ。これは日本にとっては「大きな前進であり収穫だった」。

 続いて2週間後、国賓として来日したオバマ大統領も、安倍首相との首脳会談の席で、尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象であることを名言した。
そして、首脳会談後の記者会見において「日本の施政下にある領域は、尖閣諸島も含め日米安全保障の適用対象になる」と名言。武力衝突が起きた際は、米国に防衛する義務があることを明らかにしたのだった。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
著者セミナー・予定
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


惠谷 治 [軍事ジャーナリスト]

1949年、東京生まれの尾道育ち。早稲田大学法学部卒。早大探検部OB。卒業後はアラブ、アフリカなどイスラム圏の戦場や紛争地帯、東西冷戦中は主としてソ連を中心に共産圏を取材する。
民族紛争、軍事情報に精通するジャーナリスト。綿密な取材と、独自の情報源による正確な分析力に定評がある。特に北朝鮮問題に関する分析は、海外のメディアからも注目を集めている。
防衛庁防衛研修所非常勤講師、青山学院大学非常勤講師、早稲田大学アジア研究所客員教授などを歴任。現在、海上保安庁政策アドバイザー、特定失踪者問題調査会常務理事、救う会「拉致の全貌と解決策調査プロジェクト」メンバー、早稲田大学アジア研究所招聘研究員。『西サハラ』『世界危険情報大地図館』『アフガン山岳戦従軍記』『世界テロ戦争』『北朝鮮はどんなふうに崩壊するのか』など著書多数。


アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知ればこの複雑な世界が手に取るようにわかる

ポイントとなる「歴史」「現代の事件」さえ知っておけば、今と未来がわかり出す!
日々のニュースで流れてくる問題を知ろうとするなら、ニュースのことだけでなく、それに関係する国々の事情も知っておく必要がある。今、世界は複雑になりすぎていて、ニュースから読み取れる断片的な情報では、本質的な意味は分かりづらい。 ニュースを読む力をつけるために、いちばん手っ取り早いのは、「アメリカ」「ロシア」「中国」「イスラム圏」の4つの歴史と状況を知っておくことである。軍事ジャーナリストとしての経験の中から、最低限知っておけばいいトピックスを紹介する。

「アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知ればこの複雑な世界が手に取るようにわかる」

⇒バックナンバー一覧