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組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

職人肌の「面倒くさい人」をうまく操縦する方法

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第24回】 2015年8月3日
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なぜ「職人」と「商人」はわかりあえないか

職人気質の面倒な人、あなたならどうなだめる?

 以前この連載で『「理系」と「文系」がいかに解り合えないか』について話をしたことがあるが、同様に「職人」と「商人」にも深い溝がある。私は営利企業の社長なので形式上は商人となるが、そのメンタリティは100%職人だ。つまりは「こだわりの強い、面倒くさい人」なのである。

 職人と商人は、どこまでも違う。たとえば、職人は自分の「腕」、つまりは技術(スキル)で勝負するし、技術をアイデンティティの中心におく。技術の進歩には、日々の準備や鍛練が大事であり、依頼に対して真剣に向き合い、結果を残そうと「努力」することから新たな技術が獲得できると考える。ともすれば結果を出すことは目的ではなく、技術進歩のための機会としてとらえる傾向がある。

 一方、商人は時流と差分(時間差と空間差)を見る。世に溢れるあまたの情報(インフォメーション)の中から、いかに自分のビジネスに必要な真の情報(インテリジェンス)を抽出するか、時代の流れは今後どうなるかを上手に読むことが商人の腕の見せ所なのだ。「大黒柱に車をつけよ」とはイオングループの社訓だが、これは本来不動のはずの一家の中心をこそ、変化に合わせて適切な場所に移動させる(変化対応)ことが、商業の基本であることを示す。

 さらに、商人の本質は「賭け」(リスクテイク)にある。売れるかどうかわからない商品を作らせたり、仕入れるにはお金がいる。店を出すにも広告を出すにもお金がいる。お金を調達し、可能性のあるところに賭ける。ダメなときは損切りして逃げる。そして結果(利益)を残す。結果が出るから次の賭けができる。この賭ける能力において卓越した姿を見せてくれるのがソフトバンクの孫正義氏だろう。

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秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

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