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「何島返還してほしいのか?」
北方領土問題の解決を阻む日本側の混乱

週刊ダイヤモンド編集部
2009年5月19日
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 「日本はいったい、何島返してほしいのだろう」──。意外にも、ロシアトップの本音は、こんな素朴なものなのかもしれない。

 5月11日、ロシアのプーチン首相が3年半ぶりに来日した。今回の日露トップ会談に関しては、「総選挙を控えて北方領土返還という隠し球が出るのでは?」という推測も流れたが、またも期待は裏切られたようだ。

 ロシア側からすれば、日本政府の考えていることがサッパリ理解できない。この4月、麻生首相の外交ブレーンである谷内正太郎政府代表は、「3.5島(返還)でもいいのではないか」と発言した。一方で「4島一括返還」に固執する勢力も強い。政府内で意見が分裂しているのだ。

 小泉純一郎首相の時代、1956年の日ソ共同宣言に基づく「2島先行返還論」と「4島一括返還論」の争いが続いていたが、ロシア側から見れば、いまだに日本の意図が読めない。

 領土問題とは基本的に「法的問題」。日本は「北方領土は(国際法的に)日本固有の領土だ」と主張している。返還を迫るなら、当然そのことを法的に証明しなければならない。そもそも4島、2島、3.5島と(固有の領土に関する)主張がバラバラなのは法的につじつまの合わない話であり、ロシア側も対応しようがない。

 日本政府が本気で北方領土返還を目指すなら、最低限2つのことをする必要がある。1つ目は、政府内の意見を一本化し、主張に一貫性を持たせること。2つ目は、一本化された主張に関する法的根拠を明確にすること。この2つがなされない限り、「領土返還交渉」は、「始まっていない」も同然である。

 日本側は、ロシアにはぐらかされ続けているように感じるかもしれないが、じつは日本側の主張のちぐはぐさこそが、問題を複雑にしている。

(国際関係アナリスト・北野幸伯)

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