この『2人目の壁』の主な要因としては、「経済的な理由」(86.5%)が首位となっている。働くママの回答では、「仕事上の理由」も64.7%と突出しており、2人目が生まれた後に職場復帰する際の仕事への影響が心配の種となっている。他に上位となっている要因は、「年齢的な理由」(46.6%)、「第1子の子育てで手一杯」(42.5%)など――。
「もうダメ、気が狂いそう……」
仕事も育児も全部自分、2人目なんて無理
北関東の老人保健施設で働くヘルパーの大久保智美さん(仮名・34歳)は、「育児も家事も全て自分が担っていて、もう無理だ」と、気が狂いそうな毎日を送っている。同じ年の夫は、システムエンジニアで長時間労働が避けられず、「子どもが産まれてからも働きたいのはいいけど、僕は手伝えないよ」と家事は一切しない。大久保さんの収入は月に約15万円と少ないため、月給28万円の夫の就労が優先される。夫は連日、深夜に帰宅。土日も出勤しているため家事も育児もできないが、それも黙認状態だ。
子どもは1歳半でまだまだ手がかかる。ちょっと目を離せば、壁に落書きをしたり、お茶をこぼしたりするのは日常茶飯事。ふとした隙に家を出てしまって道路に飛び出したりと、気が抜けない。まさに「第1子の子育てで手一杯」な状態が続き、家事も満足にはできない。掃除をすれば「ママ―!」と泣き、家の中はいつも嵐が過ぎ去った後のようだ。「この先、誰の助けもなしに2人も育てられるのか」という不安もよぎる。
大久保さんは、人手不足を理由に育児休業もままならず、産後3ヵ月で職場に呼び戻された。上司から「そろそろ遅番シフトや夜勤に入ってほしい」というプレッシャーをかけられている。「夜勤ができないならパートに切り替わって」とさえ言われる、マタハラ同然の職場だ。夫はあてにならず、実家の両親は「3歳児神話」(子どもは3歳頃まで母親自身の手元で育てないと その子どもに悪い影響があるという考え方)を信じており、大久保さんの職場復帰に反対していた手前、頼ることができない。結婚した当初、子どもは3人欲しいと思っていたが、このような環境のなか、「2人目が欲しいなんて言えない」というムードに押しつぶされそうだ。
現在、子育て真っ最中であろう30代の男性のうち、週60時間以上働く人の割合は約2割となっており、全世代の平均を上回っている。そんな中で、仕事と育児と家事の全てが母親に偏るのでは、「2人目」も遠のいてしまう。また、前述の調査で『2人目の壁』の要因として4番目に挙げられた「社会制度上の理由」(41.9%)では、保育や教育の情勢の見通しの悪さが挙げられており、保育所問題や妊娠・出産・子育て期の男女の雇用環境が『2人目の壁』を高くしている現実も見逃せない。



