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今月の音盤セレクション ビジネス・パーソンのための音楽案内

名曲“サウンド・オブ・サイレンス”は、本人不在で生まれた!?

~歴史に残る名曲を生んだ、ある録音スタジオの奇跡

小栗勘太郎 [音楽愛好家]
【第7回】 2015年8月8日
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 「俺はコロンビア大学に入学することはできないだろうが、コロンビアレコードからデビューする!」 

 今や生ける伝説とも言えるビリー・ジョエルが、ニューヨーク州ロングアイランドに住む無名の高校生だった頃、音楽漬けのあまり学業不振で中途退学の淵に立ったときの言葉です。

 ジョエル少年にとって、コロンビアレコードこそ、自らの夢を実現する場所でした。もちろん、それは重役たちがいるオフィスではなく、録音スタジオのことです。

ニューヨーク・マンハッタンに存在した“コロンビア30丁目スタジオ”にまつわる名曲秘話

 今月の音盤セレクトは、かつてニューヨークはマンハッタン西30丁目207番地に存在した“コロンビア30丁目スタジオ”にまつわる話です。この建物は、もともとは19世紀に建てられギリシア正教の教会でした。なぜ、教会がスタジオになったのでしょう?

 キリスト教は、グレゴリア聖歌に代表されるように、音楽を積極的に取り入れ布教してきました。その間、20世紀初頭までは、録音技術はなく、音楽は生で聴くものでした。特に教会では神々しい響きが人々を魅了しました。

 教会は構造上、音が全方位から聞こえるように設計してありました。まるで胎児が母親の子宮で心臓の鼓動を聞いていたように。人間なら誰もが持つ、遥かな記憶を刺激する場所が教会でした。

 つまりコロンビアは、教会という最高の音響を備えた建物を録音スタジオに転用したのです。高さ・幅・奥行きがそれぞれ30メートルもある巨大な空間は、どんな機器にも作れない、自然で味わい深い素晴らしい響きを生みました。

 特に、今から半世紀前の1965年の夏。コロンビア30丁目スタジオでは、歴史に残る録音が行われました。

 ロック、フォーク、ジャズ、そしてクラシックとジャンルを超える名盤が一気に生み出されていたのです。

 そこに集っていた音楽家たちは、

 ボブ・ディラン
 サイモン&ガーファンクル
 グレン・グールド
 マイルス・デイビス

 といった綺羅星たちです。

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小栗勘太郎 [音楽愛好家]

1958年生まれ、牡羊座のB型。某国立大学卒、米国滞在5年。公僕を生業とする音楽愛好家。著書は『音楽ダイアリーsideA』 『同sideB』(西日本新聞社)。『毎日フォーラム』誌にて「歴史の中の音楽」を連載中。


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