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生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

出費激増で大打撃!6児のシングルマザーの夏休み

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第20回】 2015年8月21日
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低所得世帯にとって、小中学校の夏休みは、子どもの食費などの負担が大きくなる時期でもある。家族旅行など、世の中の「あたりまえ」を経験させることも難しい。

今回は、6人の小中学生の子どもを抱えた生活保護シングルマザーの夏休みの様子をレポートする。

DV被害から逃れて1年
母と6人の子どもたちの夏休み

夏休みは親子が長時間一緒にいられる貴重な時間だが、出費は大きくなる

 「何か、することあるんじゃなかった? 宿題の提出日、いつだっけ?」
 「21日」
 「あと何日?」
 「2日」
 「大丈夫?」

 夏休みの宿題を心配する母親のYさん(36歳)に、小3のシン君が「へへへ」と屈託ない笑みを浮かべる。Yさんは、ちょっと怖い顔で「出せなくても知らないからね」と言う。Yさん宅のリビングには、小3~中3の6人の子どもたちが集まっている。子どもたちは、夏休みの宿題に取り組んだり、TVで映画「千と千尋の神隠し」の録画を見たり、思い思いに過ごしている。

 千葉県北東部・A市に住むYさんと6人の子どもたちは、Yさんの元夫によるDV被害から辛くも逃れ、昨夏、現在の住まいに転居した(本連載第14回)。元夫のDVによって職業の継続が困難になり、心身の健康も損なわれたYさんは現在、一家で生活保護を利用して生活している。現在の住まいは、昭和40年代に建てられた木造の一軒家。建物は老朽が目立つものの広く、家族全員が食事できるダイニングキッチンの他に5室がある。女子3人・男子3人の子どもたちの今後の成長を、十分に支えられそうな住環境だ。

 「お客様が見えたときにお通しする部屋も、一部屋確保できています」(Yさん)

 その客間でYさんに私がインタビューしていたとき、客間とリビングの間の襖が開き、iPadを手にしたシン君が駆け込んできた。エネルギーの塊のようなシン君は、Yさんと私の周囲を飛び跳ねつつ2回ほど周回した後、押し入れを開けて上段に入り、中から襖を閉じた。客間として用意された何もない部屋は、雨の日の子どもたちの運動の場としても役に立っているようだ。

 家賃は、2015年6月までのA市の住宅扶助(生活保護の家賃補助)上限額と同じ、5万9800円。家主は、支援団体の関係者からYさんと子どもたちの窮状を知らされ、破格の家賃を設定し、一家に提供することにした。しかし2015年7月から、上限額は2000円減額されている。Yさんと支援団体は7月初め、A市に従来通りの特別基準の適用(本連載第15回参照)を申し入れたが、未だ、A市からの回答はない。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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