今年で11年目を迎えるロングセラー手帳『和田裕美の営業手帳』の著者和田裕美さんの猛烈ラブコールにより、ウェブ界のカリスマ林雄司さんがダイヤモンドオンラインに初登場。林さんが編集長を務めるウェブサイトはすべて成功をおさめ、『デイリーポータルZ』は月間訪問者数が150万人を記録しています。情報が渦巻くウェブの世界で“ウケるネタ”はどのようにして作られるのでしょうか。(取材・構成/両角晴香 撮影/宇佐見利明)

ピケティとビリギャルを
1冊の本に取り入れる

和田 私、林さんとの対談がとても待ち遠しくて。気持ちを抑えきれず、今朝のFacebookに「今日は林雄司さんとの対談です。わくわくわく」ってアップしちゃいました。

  真面目なこと言えない僕が、ダイヤモンドさんに出て大丈夫かな(笑)。かなり異質な存在だと思うのですが……

和田 だから面白いのですよ! どうぞかしこまらず、いつも通りの林ワールド全開でお願いします。

  よろしくお願いします。

和田裕美(わだ・ひろみ)京都府生まれ。作家、営業コンサルタント。人材育成会社「和田裕美事務所」代表。小学生のときから通知表に「もっと積極的にお友だちとお話ししましょう」と書かれ続けたほど引っ込み思案な性格にもかかわらず、上京後は外資系企業の営業職に就く。当初はおどおどして相手の目を見て会話することもままならず、長い間つらく厳しい下積み時代が続いたが、独自の「ファン作り」営業スタイルを構築し、試行錯誤を重ね、徐々にプレゼンしたお客様の98%から契約をもらうまでになる。それによって日本でトップ、世界142ヵ国中2位の成績を収めた。執筆活動の他、営業・コミュニケーション・モチベーションアップのための講演、セミナーを国内外で展開している。著書は『世界No.2セールスウーマンの「売れる営業」に変わる本』(ダイヤモンド社)、『人生を好転させる「新・陽転思考」』(ポプラ社)、『和田裕美の人に好かれる話し方』(大和書房)など多数。最新著作は『成約率98%の秘訣』(かんき出版)。

林雄司(はやし・ゆうじ)
1971年東京生まれ。ニフティ株式会社勤務。『デイリーポータルZ』編集長。1996年から個人でウェブ制作を始め、5年後に『Webやぎの目』内の人気投稿企画『死ぬかと思った』(アスペクト)が書籍化。シリーズは150万部を突破しベストセラー作家へ。2002年にニフティ株式会社で『デイリーポータルZ』を立ち上げ、月間来訪社数150万人を誇る人気ウェブサイトへ成長させる。主にインターネットと新宿区で活動。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思っている。

和田 林さんをはじめて知ったのは、個人で運営されているウェブサイト『ウェブやぎの目』がきっかけでした。それがとても面白くて、Twitterをフォローしようと思って調べたら、プロフィール写真がインド人の格好で、「この人何なの!?」って(笑)。

  あの写真は、当時流行っていたウェブサービス『Akinator(アキネイター)』のパロディです。

和田 そうなんだ! ウェブも書籍も、林さんが書いたものはいちいち面白いですよね。“インターネット界の奇才”なんて呼ばれるだけあって、着眼点が素晴らしいです。

  はは、ありがとうございます。

和田 表紙に大きく「ビジネス書」と書かれている本(正式名称は、『世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書』)なんて、もう笑いっぱなしで。本のタイトルからしてふざけてる(笑)。

  ほら、『サザエさん』のカツオの部屋に「マンガ」って書いてある本があるじゃないですか。あれをイメージしています。

和田 なるほど。林さんの魅力はなんといっても、言葉のひとつひとつが秀逸なこと。たとえば、「あとで見ると意識高い系みたいなことが書いてあって、自分の中の意外な一面に戦慄することがある」とか笑っちゃう。

  ははは。

和田 この本は6月に文庫化されていますけど、タイトルは、『会社でビリのサラリーマンが1年でエリートになれるかもしれない話』ですよね。思い切り“ビリギャル”のパロディでしょ! よく出版社さんが許可してくれましたね(笑)。

  いえ、あれは編集者のアイデアなのですよ。面白いからOK出しちゃいました。ちなみに表紙の僕の写真は、ピケティを意識しています。凛々しい眉の感じを出すために、こめかみにセロハンテープ貼って、眉毛も整えて……。

和田 あ、本当だ。よく見ると、写真で遊んでる。堂々と旬なものに乗っかるところはさすがですね(笑)。しかも、本の帯に「書店様へ“置き場所注意”」とまで書いてあります。

  そりゃそうですよ。だって、タイトル見れば、サブカル本とわかるじゃないですか。ビジネス書のコーナーに置いてあったら読者に怒られてしまう。

和田 いえ、着眼点やものの考え方など色々とビジネスシーンに活かせると思いますよ。林さんにしか書けない天才的なノウハウが満載でした。