経営 X 人事

ソフトバンクが
研修を内製化する理由

 ソフトバンクの内製化の大前提として、まず初めにお伝えしたいのは、ソフトバンクグループの特徴の一つは、人材の「多様性」であるということです。グループ全体で約7万人の従業員がいます。

 これだけの人材がいれば、能力の高い人材や、さまざまな知識・経験、ノウハウを持った人材が数多く存在します。

 個々の知識・経験、ノウハウをどう成長させ開花させていくのか、また、それを事業の成長へとどのように結び付けていくのかということを考えながら、同時に、彼らの経験やノウハウを社員間で学びあう風土をいかに醸成していくかを考えています。

 これらの考え方をベースに、2009年に研修内製化を本格的にスタートさせ、それに合わせて「ソフトバンクユニバーシティ認定講師(ICI)制度」を立ち上げました。

·         1Internally Certified Instructor

 

 それまでは外部の講師による研修を行っていたのですが、異動してきた当時の上司が社内のリーダーシップ研修を見た際、研修内容は体系立っていてよいかもしれないが、ソフトバンクらしいリーダーシップをとことん学べるものにしたほうがいいのではないか?という疑問を抱いたことが研修内製化のきっかけとなりました。

 ソフトバンクらしいリーダーシップを体現できている人に現場の経験を交えて話してもらうことの方が、より実践的で、効果的なのではないかと考えたわけです。

 よくよく社内を見渡すとそのような人が多数いることに改めて気がつき、研修内製化のスタートをきるきっかけとなりました。

 実際に研修内製化がスタートすると、やはり実践的な経験に裏打ちされた人を社内講師にしてよかったとすぐに思いました。

 たとえばマーケティングを業務としてやっている人、あるいはやっていた人が講師になりますから、大変リアリティのある内容になるわけです。

 知識として知っているだけでなく、実際に業務として経験ある人が教えている点が、大きなプラスになります。

 これは、今まで外部研修を受け慣れていた社員にとってもかなりインパクトがあったようです。

 受講者は知識を学ぶのではなく、使える能力を得るために研修を受けにくるわけです。社員にも非常に喜ばれています。

 実際に、研修のアンケートでも、外部講師より社内講師のほうが満足度や評価が高いという結果が出ています。

 外部講師の方は研修のプロで教え方も大変上手いですが、その業務のプロではない、ということかもしれません。

 現在では総勢100名を超える社員のみなさんが社内講師として認定されています。

 基本的にはボランティアに近い形での参加ですが、ソフトバンクを良くしたいという想いを持った方々が集まっており、研修内容も非常に優れています。

 次回は、より具体的に内製化のプロセスについて述べることにします。

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島村公俊

ソフトバンク株式会社人事本部人材開発部 ソフトバンクユニバーシティ立ち上げ時の研修内製化に従事。現在、社内認定講師(ICI)制度の企画、運営に携わり、100名を超える社内講師陣の育成も担当する。 2013年アジア初のPike's Peak Award、 2014年HRチャレンジ大賞人材育成部門優秀賞を受賞。 外部講演では、研修開発ラボ、慶應丸の内シティキャンパス、HRサミット、HRカンファレンス、東京都教育庁、早稲田大学など多数実施。最近は、教職員向け、大学生、高校生向けの講演会、ワークショップも実施している。社内外含め、累計登壇回数800回以上、受講者数1万8千人以上の登壇実績。

 


ソフトバンク流「研修内製化」の真実

企業の人事部門では今、「研修の内製化」がひとつのキーワードになっている。どちらかといえばそれは、教育コストの削減という経営の要請が発火点になっているが、一方では内製化をポジティブにとらえ、成果を上げている企業もある。5年ほど前から研修の内製化に取り組み、現在では100名を超える社内講師を抱えるソフトバンクは、その代表的な企業と言える。内製化を成功に導き、成果を上げる秘訣について、ソフトバンク人材開発部の島村公俊氏に語ってもらった。

「ソフトバンク流「研修内製化」の真実」

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