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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

「レース=走る実験室」の図式が今でも健在な理由

富士スピードウェイ・原口英二郎社長&柘植和廣顧問インタビュー

週刊ダイヤモンド編集部
2015年9月11日
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週刊ダイヤモンド9月12日号の第2特集は「自動車レースの経済学」。2015年、日系自動車メーカー大手3社が相次いでFIA(国際自動車連盟)公認の世界選手権への復帰を表明した、その思惑を描き出すものだ。ここでは、特集内では語りきれなかったキーマンのインタビューをロングバージョンでお届けする。(週刊ダイヤモンド編集部・池田光史)

――5月のスーパーGT第2戦の観客動員数は、過去最高記録を更新しました。

原口英二郎社長(以下、原口) そうですね。お陰様で2日間の観客動員数は9万1500人と、初めて9万人を突破しました。

――しかし世界のトップレースに比べると、依然として観客動員数が少ないのも事実。今の日本のレース界の現状をどう見ていますか。

はらぐち・えいじろう/トヨタ自動車で長らく営業・マーケティング畑に従事。トヨタマーケティングジャパン取締役、トヨペット店営業部部長等を経て今年4月より富士スピードウェイ社長に就任。

原口 若者のクルマ離れが叫ばれる中、サーキットにはクルマを安全に楽しんでもらえる道具が揃っています。クルマってもっと楽しいとか、子供のころから楽しんでもらえる“非日常”があるんです。こうした活動は、業界を上げて取り組むべき課題です。実際、当社はトヨタ自動車の子会社ではありますが、全メーカーやブランドと取引があります。このまま自動車業界は衰退するんじゃないか、という意見もある中、サーキットは業界を活性化していく上で、貴重な役割を担っていると思っています。

柘植和廣顧問(以下、柘植) 国内サーキットでいえば、(ホンダ傘下の)鈴鹿サーキットが3年先輩に当たります。当社は来年50周年を迎えます。

 この他にも、実は日本にはサーキットって結構あるんです。意外に思われるかもしれませんが、一国で国際自動車連名(FIA)および日本自動車連名(JAF)の公認を受けた国際サーキットを7つも持つ国は、欧州でもそんなに多くはないんです。

――しかし、モータースポーツ発祥の地である欧州に比べ、日本ではモータースポーツ文化がさほど根付いていないようにも見えます。

原口 日本では、「クルマは悪者だ」「クルマはあぶない」といった風潮が形成された頃が一時期ありました。サーキットでも1980年代に暴走族の集まりなどがあり、周辺地域ではサーキット撤退運動が起こったり、「スピードは悪だ」「バイクは持たせない」といった運動も起きました。そういう厳しい目を向けられながらも、なんとか事業を継続してきた歴史があります。しかし、サーキットに対するイメージも、ここにきてようやく変わってきていることは感じています。

柘植 かつては自動車レースには、「資源の無駄遣い」みたいなネガティブなイメージもありました。しかし最近では、F1も世界耐久選手権(WEC)も、ハイブリッド技術の先行開発の場となるなど、燃費のよさや環境性が前面に打ち出されるようになっています。

 それでも、限られた資源である燃料を使っていることは間違いないし、タイヤについても無駄に使っているという見方をされるのは、ある程度はやむを得ない。しかし一方で、タイヤの基盤技術を磨くべく、タイヤメーカーは積極的にレース活動に取り組んできましたし、様々なクルマの技術の実用性を試す上で、レースが機能してきたことも事実です。

――今もレースの世界は最先端の「走る実験室」なのでしょうか?

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