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組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

現場に口出ししたがる
社長の“悪い癖”はなぜ治らないのか

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第28回】 2015年9月28日
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なぜトップは忙しいのに
現場に介入したがるのか

あなたの会社のトップは、現場に介入したがっていませんか?

 先日、某球団の打撃コーチが退団した。その原因は、球団オーナーの過剰な現場介入だったと言われている。この手のニュースは、だいたい大げさに報道されるから本当のところはわからないが、成果が出ない現場に対してトップが口出ししたくなる気持ちもわかるし、打順にまで口出しされてはたまらないという打撃コーチの気持ちもわかる。ずっとトップの補佐役をやってきた私にもなじみの風景だ。直接トップに文句を言えない現場のプロジェクトリーダーから、「あなたのところでどうにか止めてください」としょっちゅう懇願されたのが、トップの現場介入であったからだ。

 たとえば別の会社とパートナーシップを組んで、じっくり計画してきたビジネスに、突然、「先進的なこの会社を使え」と別のライバル会社を指定されたり、全然関係のない文脈で、「“女性活用”や“LGBT”などの時代のキーワードを反映させろ」と強制してきたり。社長がプロジェクトリーダーに直接、意見して現場を引っかき回す話はよく聞く。そして、現場の状況を知らないトップの意見をそのまま反映すると、大抵いい結果は得られない。

 それなのに、なぜトップは現場のやることに口出しするのだろうか。それには主に3つの理由がある。

 1つめは、それがトップにとって重要なプロジェクトであり、トップ自身もそのプロジェクトに興味があるからだ。もう少し正確に言うと、ある時点までは、それほど重要でないプロジェクトが、何かをキッカケに突然重要なモノに変わってしまったときに現場介入は起こりやすい。取引先の社長や家族から関連する“面白い情報”を聞かされたり、気になっている“ライバル企業”が成功しつつあるというニュースを聞いたり、社外のイベント等でそのプロジェクトの進展状況を“発表”しなければならない状況になったりしたときなどに、それまでどうということもなかったプロジェクトがいきなり関心事に変わってしまう。

 興味を持ってしまうと、何か言わずにいられないのがトップである。トップの強い関心は、うまくいけばより多くのリソースの配分を受けプロジェクト飛躍の契機ともなるが、その多くは余計な干渉が増えるだけという残念な結果になりがちだ。

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秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

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