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社内プレゼンの資料作成術
【第18回】 2015年10月26日
著者・コラム紹介バックナンバー
前田鎌利

「10秒でわかるスライド」をつくる技術(2)
キーメッセージは「やや上」に置く!

社内プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?何度も却下されたり、差し戻しにあったり……。そこで、ソフトバンクで孫正義氏から「一発OK」を何度も勝ち取った著者が、秘伝のノウハウを詰め込んだ『社内プレゼンの資料作成術』を発刊。大きな反響を呼んでいます。この連載では、本書から、シンプルな資料で100%の説得力を生む、「超」実践的なノウハウをピックアップしてお伝えします。

キーメッセージのフォントは1つだけ

 キーメッセージは、そのスライドでいちばん伝えたいことです。
 1枚のスライドにおいて、最も決裁者の目に訴えたい部分であり、意思決定の決め手になる重要な情報です。だから、キーメッセージに使用するフォントは「目に入りやすく」「誰でも読める」ものでなければなりません。
 この条件を満たすフォントは、ずばりこの2つです。

<キーメッセージに最適のフォント>

●Powerpoint:HGP創英角ゴシックUB

●Keynote:ヒラギノ角ゴStdN

 この2つが、誰にとってもいちばん読みやすく、インパクトのあるフォントだからです。

 なぜ、ゴシックがいいか? 明朝体を老眼の人や目の悪い人が見ると、線が消えて見えることがあるからです。明朝体のほうが知的に感じられるかもしれませんが、見えなければどんな知的なフォントを使っても意味がありません。キーメッセージに限らず、社内プレゼンでは明朝体は使わず、ゴシックを使うのを基本にしてください。

 ゴシックにも「HGS創英角ゴシック」や「HG創英角ゴシック」などいろいろな種類がありますが、そのなかでもキーメッセージに最も適しているのが「HGP創英角ゴシックUB」です。私は、あらゆるフォントでプレゼン資料をつくってスクリーンに投影してきましたが、このフォントは行間も文字間隔も詰まり過ぎず空き過ぎず、キーメッセージとして使用するにはちょうどいいバランスなのです。

 なお、キーメッセージ以外のテキストで使うフォントは、この2つです。

<キーメッセージ以外に最適のフォント>

●Powerpoint:MSPゴシック

●Keynote:ヒラギノ角ゴProN

 この2つが、「グラフのタイトル」「グラフの数字」「概要やスケジュール」などのテキストで使うには最適のフォントです。キーメッセージとの差異が明確で、かつ読みやすいからです。

 プレゼン資料をつくる度に、「どのフォントにしようか?」と迷っているのは時間のムダ。あらかじめ使用フォントを決めておけば、それだけで効率化につながります。社内プレゼンでは、趣味嗜好にかかわる部分は捨て去って、余計なことに神経を使わないのが得策。迷わず、ご紹介したフォントに決めて、資料づくりをスピードアップさせてください。

キーメッセージのフォントサイズは100~200

 キーメッセージのフォントサイズは、「100~200」にしてください。100以下だと小さすぎてインパクトに欠け、200を超えると「やり過ぎ」になります。必ず、この範囲で設定するようにしてください。

 そして、この範囲でできるだけ大きくするのが鉄則です。
 下のスライドをご覧ください。サイズ100とサイズ200(スライドに対する比率)を表示したものです。100でも十分に読めますが、200にすると格段にインパクトが増すのが一目でわかるはずです。決裁者の意識に強く訴えるには、キーメッセージをできるだけ大きくすることが大切なのです。

 パソコン上でスライドをつくっているときに、フォントサイズを200にすると「ちょっとやりすぎかな……」と思うかもしれませんが、決裁者はパソコン画面で見るわけではありません。スクリーンに映し出されたときには、200でもまったく違和感はありませんので、安心して使ってOKです。

 なお、どうしても100以下にしなければ、テキストが入り切らない場合には、文字数を減らすことを検討してください。文字数を減らせない場合にも、グラフなどテキスト以外の要素を小さくするなど、なんとかスペースをつくって、100以上のサイズにできるように工夫しましょう。

キーメッセージはブロック単位で「やや上」に置く

 キーメッセージを配置する位置にも法則があります。
 必ず、スライド中央より「やや上」に配置するのです。


 なぜなら、決裁者は、スライドを写すスクリーンを、座った状態で見上げるからです。その角度でスライドを見ると、キーメッセージが中央かそれより下に配置されていると、とても窮屈な印象を受けるのです。そのメッセージがスムースに心の中に入ってこないわけです。

 古い日本家屋やお寺の壁上部に、横書きの「書」(扁額)が掲げてあるのをよく見かけます。あれを見ると、すべて中央より少し上に文字が書かれていることに気づきます。下から見上げることを想定して、そうしてあるわけです。中央より「やや上」に置くのは、古来からの知恵なのです。

 なお、下のようにキーメッセージを表示するケースも多くあります。「来客数減少のため対策を要する」と1つの文章でキーメッセージを表示するよりも、「来客数減少」▶「要対策」と2つのワードに分けたほうが、言葉も少なくできるため、決裁者が一瞬で理解しやすくなるためです。また、フォントを大きくすることができるため、いちばん伝えたいキーメッセージを、インパクトをもって伝えられる効果もあります。

 そして、このような場合には、ブロック単位で「やや上」にキーメッセージを置くように工夫してください。キーメッセージはグラフとともに表示されるケースが多いのですが、最も重要なのはキーメッセージです。キーメッセージのスペースを十分にとり、かつ「やや上」に置くために、グラフのスペースを調整するという意識でスライドづくりに取り組んでいただきたいと思います。

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前田鎌利 

まえだ・かまり 1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも数多く担当した。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。著者のプレゼンテーション術を実施した部署で、決裁スピードが1.5~2倍になることが実証された。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー、株式会社ベネッセコーポレーション、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、全国でプレゼンテーション・スクールを展開している。


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