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安東泰志の真・金融立国論

「出る杭は打つ」税制が
起業を阻害し有能な人材を流出させる

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第62回】 2015年10月7日
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日本で起業し、頑張って成功しても、税金でほとんど持って行かれてしまう…

 昨今、日本を代表するような有能な実業家がアジアにビジネスの拠点を移したり、米国で起業したりする例が後を絶たない。その理由は、ビジネス環境の良し悪しもさることながら、時代遅れな日本の税制にあると言っても過言ではない。

 背景には、横並びを是とし、出る杭を打つ日本の文化がある。有能な日本人の流出を防ぐだけでなく、むしろそういう人材を世界から集めなければ日本の将来はない。そのためには、まず税制を戦略的に見直すことが肝要だ。

金融市場の活性化に背を向けた
ピント外れの税制改正

 日本の時代遅れを象徴するのが平成25年度(2013年度)税制改正だ。これにより租税特別措置法第37条の10第1項、同37条の11第1項は、上場株式等と非上場株式等に係る譲渡所得等が各々別個の分離課税対象となり、両者間の損益通算を認めなくした(2016年1月1日以降から適用、図1参照)。しかし、これは「百害あって一利なし」の改悪であり、日本を金融後進国にしてしまう恐れが強い。

 そもそも、これは「金融所得一体課税」(金融取引から発生する所得を合算して課税すること)に逆行する改正だ。この措置により新規事業育成や事業再生への個人資金の導入が極めて困難となったと言ってよい。

◆図1:金融所得一体課税

●2016年1月1日以降は、『金融所得一体課税』と呼ばれる税制改正がある。これは、すべての金融所得をなるべくひとまとめにして、同じ税率に課税する、という趣旨。
●改正後、金融所得は、(1)上場株式グループ、(2)非上場株式グループ、(3)特定公社債グループ、(4)一般公社債グループ、(5)FX・先物グループ、に分けられる。
●改正により、上場株式と非上場株式の譲渡損益の通算ができなくなる。
●代わりに、(1)と(3)の間で損益通算及び損失の繰越控除が認められる。また、(2)と(4)の間で譲渡損益同士の通算が可能となる。図に示すと上のとおり。
 
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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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