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40代からの人生の折り返し方 野田稔

脱サラ起業家の安易な会社設立に賛成できない理由

野田 稔 [一般社団法人 社会人材学舎 代表理事]
【第16回】 2015年9月28日
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会社をつくるなら
一度沈む覚悟がないと成功しない

独立したらすぐに会社をつくろうと思う人は意外と少なくないが、本当に会社組織化が必要か熟考する必要がある

前回より、サラリーマンからの起業について話をしているが、そもそも個人事業主と会社組織化の境目はどこにあるのだろうか。判断基準はいろいろある。人を雇うかどうか。仕入れの関係などから会社組織であることが求められるかどうか。どの程度、投資が必要かどうか。その結果、投資や融資がどの程度必要となるのか……。

 たとえば設備もほとんどいらない自分一人だけの頭脳労働であれば、投資はほとんどいらない。お金が掛からず、人も雇う必要がないとすれば、特に会社組織にする理由もない。

 大きな判断材料は、設備投資が必要かどうかだ。設備投資が必要であれば、先行投資が必要になる。そのためには銀行からお金を借りたり、事によると誰かに出資してもらったりする必要が出てくるので、会社設立が得策ということになる。

 何かモノを作ろうと思った場合は、一般的には設備投資が必要なため会社組織が必要と思うかもしれないが、一人でできる手づくりであれば個人事業で十分可能だ。ところが、手作りではなく、大量生産しようと思ったら話は変わってくる。

 最近では自分で生産設備を持たないファブレスもあるので、必ずしも先行投資が必須ということでもないが、自社でこだわりを持って作るとなると、設備も必要だし人も雇わなくてはいけない。こうなると、どうしても会社組織にすることになるだろう。

 会社組織にするということは、「一度沈む」ことだと思っている。先行投資が必要だから、どうしても一度は経済的にきつい状況となる。その沈み方が大きければ大きいほど、うまく行ったときに高い山に登れる。沈みが小さい場合は、山もたいして高くはならない。ただし、大きく沈んだからと言って、必ずしも大きく実を結ぶとは限らない。

 要するに、ハイリスク・ハイリターンなのか、ローリスク・ローリターンなのかの選択である。ハイリスクでなければ仕方ないもの、つまりは多額の設備投資が必要なものは会社組織にするのが正解だ。

 やってはいけないのは、そもそも資本集約的でも労働集約的でもない事業なのに、無駄に投資を行い、人を雇うことだ。計画性もなく人を雇う、高い家賃の場所にオフィスを構える、宣伝も打つなどを指す。事業を展開するのに必要最低限の人と設備でスタートするのが大原則だ。

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野田 稔 [一般社団法人 社会人材学舎 代表理事]

明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授/株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所 特任研究顧問。野村総合研究所、リクルート社新規事業担当フェロー、多摩大学教授を経て現職に至る。日本テレビ系列「ズームインスーパー」、NHK総合「経済ワイドビジョンe」「Bizスポワイド」、NHKEテレ「仕事学のすすめ」などメディアでも活躍。主な著書に『組織論再入門』『中堅崩壊』(以上ダイヤモンド社)、『二流を超一流に変える「心」の燃やし方』(フォレスト出版)『企業危機の法則』(角川書店)など多数。


40代からの人生の折り返し方 野田稔

40代は時計で言えば、ちょうど昼の12時を回った人生の午前中が終わったばかりだ。人生折り返し、1日に例えれば、午後をいかに過ごすか。黄昏が訪れる前に上手に人生を折り返す方法をこの連載では考える。

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