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インキュベーションの虚と実

ちょっと待ってよ、安倍総理!これじゃ的外れ
バラバラ出てくるベンチャー施策の“なぜ!?”

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第31回】 2013年7月22日
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 このところ政府のベンチャー関連施策がいくつも発表されている。安倍政権の三本目の矢、つまり成長戦略の一環としてだ。

 ベンチャーにこれだけスポットライトを当ててくれるのはありがたいことだ。しかし、施策が発表される度にベンチャー関係者の間では落胆の声が上がる。

 たしかに、一部はヒドい。しかし、批判しているだけでは何も始まらない。ベンチャー関係者が口々に嘆き、バラバラに動くだけでは、日本のベンチャー政策の発展はない。見方を変えれば、今のベンチャー業界は変革すべきことが山ほどあるやりがいのある状況であり、サイクルを好転させれば、成果を得られる道もあるはずだ。

 今回は、将来のベンチャーのエコシステム(生態系)をつくるために、政府施策のどこに問題があるのかを考えてみたい。

ちょっと待ってよ!
施策をバラバラ出さないで!

 まず、報道されている施策の例をいくつか挙げよう。

■「総務省、米VCにIT研究者派遣 技術の事業化後押し」(2013/6/15 日本経済新聞)

 大学や企業のIT分野の研究者をシリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)に派遣するそうだ。資金調達などを学んで、研究開発が事業に結びつかない現状を打破するとのこと。

 これには大勢がひっくり返った。ベンチャーのことを大して知らないド素人を受け入れるVCなど、シリコンバレーにはない。あっても机を借すだけで、実際の仕事にはタッチさせないだろう。そもそも、研究者をVCに送るということの意味がわからない。

 シスコシステムズやセールスフォースドットコム、マイクロソフトなどの事業開発部門に人を派遣した方が、ずっとためになるだろう。もっとも、それでも受け入れは容易なことではない。

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本荘修二 [新事業コンサルタント]

多摩大学客員教授、早稲田大学学術博士(国際経営)。ボストン・コンサルティング・グループ、米CSC、CSK/セガ・グループ会長付、ジェネラルアトランティック日本代表を経て、現在は本荘事務所代表。500 Startups、NetService Ventures Groupほか日米企業のアドバイザーでもある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

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