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China Report 中国は今

バングラ邦人殺害でチャイナプラスワンが暗礁に?

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第190回】 2015年10月9日
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 10月3日、バングラデシュ北西部、首都ダッカから約300キロのロングプール県で日本人が射殺されたというニュースが飛び込んできた。寝耳に水の事件である。

 「この親日国で、まさか日本人が殺されるとは」――。バングラデシュ在住の日本人も日本在住のバングラデシュ人も、この悲報に衝撃を受けた。

 その後、インターネット上に、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行を認める声明を出したことから、この事件はバングラデシュとISの関連を強く印象づけるものとなった。

日本企業の進出も
増え始めた矢先の惨事

バングラデシュは繊維工場をはじめとして、世界の企業が生産拠点を置く

 バングラデシュといえばイスラム国家だが、近年は外からの原理主義組織の活動を表面化させない「穏健で安定したイスラム教国」として評価される一面も持っていた。

 こうした要素に加え、若年労働者の層の厚さ、比類ない親日ぶりから、近年はチャイナプラスワンの新拠点として、バングラデシュを候補地に入れる日本企業も増え始めていた。

 昨年9月には安倍首相が訪問し、今後4~5年で円借款を中心とする6000億円の支援を表明して以降、日バの経済関係には追い風も吹き始めていた。

 だが、今回の「ISによる日本人射殺事件」は、こうした評価に修正を与え、外資投資を冷え込ませてしまう可能性がある。

 すでに外務省の海外安全情報は、バングラデシュへの渡航について、不要不急のケースはとり止めるよう呼びかける「レベル2」に引き上げた。イスラム過激派組織によるテロの世界各地での発生を受け、「バングラデシュも日本人がテロを含む事件に巻き込まれる危険性がある国」だという認識に切り替わったのだ。

 欧米の各国政府もバングラデシュ渡航に対し、危険情報を引き上げている。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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