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TPPはチャンスではない!
日本の農業は確実に衰退する

北海道大学大学院農学研究院・柳村俊介教授に聞く

みわよしこ [フリーランス・ライター]
2015年10月26日
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2015年10月5日、12ヵ国によるTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉が大筋で合意に達し、期待とともに数多くの懸念を生んでいる。日本国内の消費者として、農業と日本の「食」に関し、どう期待し何を懸念すべきなのだろうか?(フリーランスライター みわよしこ)

TPPが確実に引き起こす
日本農業の縮小

TPPは日本の農業にとって本当にチャンスと捉えていいのか?

 2010年、菅直人首相(当時)がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加検討を表明して以後、TPPは議論と政争の題材になり続けてきた。2015年10月5日の大筋合意を受けて、特に多大な影響を受ける可能性が高いのは農業だ。

 TPP大筋合意の3日後に発足した第三次安倍内閣に関する報道には、農業への影響に注目したものが多く見られた。たとえば毎日新聞は、

〈TPPではコメや牛・豚肉、乳製品などで輸入枠の拡大や関税引き下げが決まった。海外の安い農産物が増えることも予想され、業界からは保護強化の声が強まるのは必至だ。森山農相は就任後の記者会見で「影響を精査の上、意欲のある農林業者が希望を持って経営に取り組めるようにする。一番影響があるのはコメだが(生産者に)迷惑をかけることはないと思う」と述べた。 (略) 今が日本の農業の分岐点とも言え、難しいかじ取りを迫られそうだ〉(安倍改造内閣:アベノミクス正念場 TPP対策が急務 毎日新聞 2015年10月08日

 とレポートしている。

 実際のところ、TPPの農業への影響、さらに農業への影響を通じた消費者への影響は、どのようなものになるのだろうか? たとえば「関税自由化」の結果を、どうイメージすればよいのだろうか?

 今さら口にしにくい素人質問の数々に対し、農業経営発展と社会の変動について研究している、柳村俊介氏(北海道大学・大学院農学研究院教授)にお答えいただいた。

――柳村先生、今日はよろしくお願いします。私自身は消費者の立場ですが、食糧の価格が下がることに対しては「助かる」という気持ちがある一方で、「本当にそれでいいのか?」という疑問も、食料自給率が下がることに対する危機感もあります。これからの近未来、向こう5年・7年の期間では、どのような変化がありそうでしょうか?

 今後どう動いていくのかは、政府の政策が出ていませんので、今の段階では何とも言えないところです。ただ、市場開放が進んでいくのは間違いありません。TPPだけではなく、EUとの経済連携協定(EPA)もあり、2015年末までの妥結が目標になっています。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


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