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「捨てない未来」はこのビジネスから生まれる
【第3回】 2015年10月30日
著者・コラム紹介バックナンバー
岩元美智彦 [日本環境設計 代表取締役社長]

技術だけでは事業は回らない。
窮地を救ってくれた良品計画・金井会長の言葉

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2008年、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場するデロリアンを動かす「ごみを燃料に変える」技術の実現化に向けて一歩を踏み出した、「日本環境設計」社長、岩元美智彦氏。しかしその先に待ち受けていたのは、拒絶の嵐だった――。
技術だけでは事業は回らないと痛感した岩元氏の前に現れた、1人の救世主とは? 著書『「捨てない未来」はこのビジネスから生まれる』から、消費者と企業の両方がメリットを得る〈しくみ〉誕生の秘密を紐解く。

技術だけで事業は回らず

 「うーん、綿からバイオエタノールを量産する技術を確立したと言われてもねぇ……」

 かねてからの夢を果たし、使わなくなった綿製品からバイオエタノールを量産する技術の実用化に目処が立った2008年の春頃から、私はあちこちを駆けずり回っていました。目的は、この技術を武器に、衣料品を回収してバイオエタノールを量産する事業モデルをつくること。その事業への協力を仰ぐため、さまざまな会社や官公庁を行脚していました。

 けれども、訪ねた先で掛けられる言葉は決まっていました。

 「そんな話、聞いたことないですよ。バイオエタノールと言えば、トウモロコシとかサトウキビじゃないですか。それに、衣料品からバイオエタノールをつくるっていうお話は面白いですけど、事業面でお力になるのは難しいですね」

 後で知ったことですが、綿からバイオエタノールをつくる技術開発の試みは、本当に誰もやっておらず、まったくと言っていいほど見向きもされていなかったのです。そんな評価すらしづらい技術の開発に、いくら大阪大学との共同研究とはいえ、社員3人、資本金120万円のぽっと出のベンチャーが、ほんの数年研究に取り組んだだけで成功するわけがない。いわんや成功したとしてもそんなにたいしたことのない技術だ――。おそらくそう思われていたのでしょう。

 技術があっても、それを活かせる事業モデルをつくれなければ、宝の持ち腐れになってしまう。私の夢は、結局のところ夢のまま終わってしまう。幸先よく技術開発に成功したはずが、それを事業化する段になって、思わぬところでつまずきそうになっていました。

 私たちに何が足りないのかは、明白でした。技術を活かす、着なくなった衣料品の回収モデルです。

 しかしただひと言「集める」といっても、それを実現するためには、数多くのハードルがあります。消費者の意識から、企業や自治体の力添え、法律まで、極めて多くの領域にまたがる問題だからです。

 とくに大事なのが、企業の協力、そして消費者の参画の2点でした。集めるに当たって、「売る」側の企業と、それを「消費する」人を取り込めなければ、服は集まりません。

 そして、この2点を実現して事業化を成すために不可欠だったものこそ、〈しくみ〉〈ブランド〉でした。

 狙いは何となく絞れたとはいえ、この2つだけでも吹けば飛ぶようなベンチャー1つで何とかなる範囲をはるかに超えています。断られに断られる日々を送った当時の私は、実現へのハードルの高さを噛み締めていました。

 あれこれ考え、あちこち駆けずり回るうちに、私は1人の人物とめぐり会うことができました。

良品計画の金井政明氏(当時社長、現在は会長)――。

 金井さんとの出会いが、当社の大きな事業の柱の1つである衣料品のリサイクルプロジェクト「FUKU‐FUKU」が生まれるきっかけへとつながっていきました。

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岩元美智彦 [日本環境設計 代表取締役社長]

 

964年鹿児島県生まれ。1985年、大学生だった21歳のとき『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観て、ごみを燃料にして動く車型タイムマシン「デロリアン」に衝撃を受け、「未来にはごみが資源になる。実現するのは日本のテクノロジーだ」と確信する。
大学卒業後、繊維商社にて営業職としてキャリアをスタート。取引の傍らで廃棄される製品のリサイクルが日本の課題であると感じ、企業での再生繊維の開発・普及・啓発に5年間、繊維製品のリサイクルのビジネスモデル構築に7年間携わる。その経験から、資源が循環する社会を実現するためには、テクノロジーだけではなく誰にでもわかりやすく参加しやすい「消費者参加型」のしくみが必要であることに気づく。


2007年1月、髙尾正樹とともに「日本環境設計株式会社」を設立。2008年、綿繊維からバイオエタノールをつくる技術開発に成功。また2010年、衣料、繊維製品をリサイクルしたい消費者と企業を結ぶ「FUKU-FUKUプロジェクト」を開始。さらに2012年には、環境省と連携してプラスチック製品の回収実証実験である「PLA-PLUSプロジェクト」を開始。2015年現在、150の企業・団体が参加する一大インフラとなっている。
2015年、消費者から集めた衣料品などでつくった燃料で、デロリアンを走らせるプロジェクトを開始。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で主人公がたどり着いた未来の日付である10月21日、都内でデロリアンを走らせることに成功し、ついに30年越しの夢を叶えた。
トーマツベンチャーサポート・野村證券主催「年末特大版Morning Pitch」最優秀賞受賞(2014年)。


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