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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

次の金融緩和はいつか?
日銀の金融政策の変化(回帰)を読む

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第22回】 2015年11月4日
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 10月30日に日本銀行金融政策決定会合が開催され、金融政策の現状維持が発表されました。しかし、最近、金融政策の変化が感じられます。そもそも日本銀行の金融政策の目的とは何か、から解説していきましょう。

日本が発展途上国だったころからの金融政策

 第2次世界大戦後の国際通貨体制「ブレトンウッズ(Bretton Woods)体制」は1945年から71年まで採用され、日本円は1ドル=¥360として固定されていました。この時の¥360という為替レートの設定には意味がありました。米国が送り込んだヤング調査団(ラルフ・ヤングは連邦準備銀行[FRB]調査統計局次長だった)が日本経済の調査を行い、さらにGHQ経済顧問だったジョゼフ・ドッジ(デトロイト銀行頭取)等も検討を行い、連合国司令部(GHQ)の中では日本円の為替レートは330円が妥当ということになっていました。その後、主として共産主義の拡大防止のために、日本経済を早期に回復・自立させることが大事ということになり、日本の輸出に有利なように30円乗せて円安レベルの360円に決めたのです(円は“丸”だから360度で360円という話もありましたが)。

 この1ドル=¥360は71年まで26年にわたって継続しました。71年8月の「ニクソン・ショック(Nixon Shock)」により、先進国は順次、変動相場制になっていきました。

 固定相場制とは、固定相場の維持を「最優先の政策」とする制度です。つまり、国際収支(当時は主として貿易収支)を均衡させることが重視されていたのです。当時の日本は発展途上国であり、貿易赤字になることを避けなければなりませんでした。日本国内の景気が良くなると輸入が増えることになります。そのとき、貿易収支を均衡に向かわせるため、景気を悪くし輸入を抑制することが必要となり、金利の引上げが行われました。これが、一般的には「国際収支の天井」といわれるもので、英国では「ストップ・アンド・ゴー政策」という政策です。つまり、為替レート(固定相場制)の維持のために金融政策を使っていたのです。

景気対策より円高防止策としての金融政策

 その後、1985年にドル高是正(ドル安誘導)を目的とした「プラザ合意」によって、ドルは、ドル安方向への大幅な水準調整を実現しましたが、今度はドル安の流れが止まらなくなりました。逆に、日本と西ドイツ(当時)では通貨高による不況が深刻化してきました。そのドルの下落に歯止めをかけるために、締結されたのが「ルーブル合意」でした。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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