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“妊活離婚”の悲劇も──
高齢化する不妊治療の厳しい現実

秋山謙一郎 [フリージャーナリスト]
2015年11月6日
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思われている以上に厳しい現実
42歳での“出産率”は1割を切る

 今、子宝を授かろうと不妊治療をはじめとする“妊活”に励む女性が増えている。だが、その不妊治療が実を結ぶ可能性は、私たちが考えているよりもずっと低いのが現実だ。果たして、その現実は十分に認識されているだろうか。

 とりわけ42歳を超えての不妊治療はギャンブルと言っても過言ではない。産婦人科医師の一人は語る。「うちの病院で不妊治療を行なった女性の妊娠率は40歳で約40%、41歳で約35%です。ところが42歳では15%にまで落ち込みました。以降、43歳では約10%、44歳以上では、わずか約3%です」。

 最近、よく「女性の出産のリミットは42歳」という声を聞く。これは産婦人科医の宋美玄氏のメディアでの発言に端を発したものだと言われている。前出の医師は、この宋発言以降、42歳女性のみならず43歳以上女性からも、「まだ(妊娠は)間に合うのでは?」との問い合わせが引きも切らなかったと話す。

 「確かに42歳ならまだ妊娠率は1割を超えています。この数字はどの病院もそう大差ないはずです。その意味では“女性が出産できるリミット”と言っていい。しかし、そのリミットに不妊治療さえ施せば誰でも出産できると考えるのは、あまりにも浅略ではないでしょうか」

 医師がこう語るのには理由がある。一般的に、不妊治療で注目されるのは妊娠率だ。だが妊娠はしても出産できなければ意味がない。重要なのは“出産率”である。流産もあるので、当然、出産率は妊娠率を下回ることになる。これを多くの人が見逃している。

 「42歳女性で見ると、体外受精*1で60人中9人が妊娠しました。確かに妊娠率は15%です。しかし、その9人中の5人しか出産していません。従って出産率は8.3%となります。この数字は妊娠率15%の約半分です。同様に、体外受精からさらに進んだ顕微授精*2だと、妊娠率では6.6%ですが、出産率では3.7%というのが現実です」

*1:排卵前に体内から卵子を取り出し、これに精子を振りかけて受精させ母体に戻す不妊治療法。精子を膣内に人工的に注入する人工受精でも妊娠に至らなかった場合に用いられる。

*2:広義では体外受精と同じ。しかしその受精方法が異なり、顕微鏡で卵子を見ながら精子を注入させる。体外受精でも妊娠に至らなかった場合に用いられる不妊治療法。精子の数や運動量が少ない、卵子の受精力が弱い場合でも相対的に高い確率で受精させることができる。

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