国民的アイドルに課された
相当な覚悟

「ヤワラちゃん」こと柔道の谷亮子氏が、参議院の全国比例に民主党から立候補するという。これには驚いている。

 これで民主党から立候補するオリンピックメダリストは3人目である。

 国民的アイドルである彼女の今回の決断には、率直なところ戸惑いを禁じ得ない。

 スポーツ振興のために貢献したいのなら他の道もある。解説者でもよいし、大学などで後進を育成するのもよい。なぜ、政治家なのかもう1つわからない。

 また、政界への道を選ぶにしても、なぜ民主党なのか、なぜ小沢一郎幹事長なのか、それも説明を要する。

 以前「スポーツ平和党」という党があったが、そういう小さなグループに属して自由に発言するほうがよいのではないか。

 国会の審議や採決は、スポーツだけでなく、外交、経済、財政などあらゆる分野に及ぶ。そのすべてに明確な態度を示さなければならない。スポーツ以外のことで小沢氏や民主党の意向通りに動くのであれば、それ相当の覚悟が必要だし、有権者からも今までの「ヤワラちゃん」とは違う目で厳しく見究められるだろう。「国民の誰もが望む国づくりをしたい」という谷氏の意欲は買うが、そのためにも、出馬の経緯や所属はきわめて重要だ。

 谷氏は目玉候補であるだけに、他の候補に倍する説明が必要になる。小沢氏の「政治とカネ」問題を許容しているのか、それを最初に答えなければならない。