現代のわれわれはインターネット上の多くのサービスを無料で利用している。
検索サイト、電子メール、地図アプリ、「フェイスブック」「ツイッター」などのソーシャルメディア、動画共有サイト「ユーチューブ」、無料オンライン百科事典「ウィキペディア」の閲覧等々、料金を払わずに使っていながら、日常生活で重要なものは多い。
そういった無料サービスはわれわれに多様な利便性をもたらしている。しかし、GDPではどのように捕捉されているのだろうか。一部はサイトに登場する広告費を通じて、間接的に消費者がコストを支払っているといえる。しかし、全体として見ればお金に換算されていない部分がかなりある。
他方、最近多くの先進国で、成長率の鈍化や生産性の低下が議論の対象になっている。経済協力開発機構(OECD)によれば、2001~07年と07~13年の7年間を比べて、労働生産性の伸びが低下した国は、先進国を中心とする34カ国中、32カ国にも及んでいる。
IT革命は生産性を向上させてきたはずだが、近年の動きは統計上、必ずしも明確ではない。マサチューセッツ工科大学の研究者(エリック・ブラインジョルフソン教授ら)は、無料インターネットサイトにより、消費者は07~11年に年平均1060億ドル(GDPの0.74%相当)の利益を得てきたと推計している。ただ、それはGDPや生産性の公式な統計には反映されていないという。