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エレベーターで衛星打ち上げも!
ここまで来た世界の宇宙ビジネス

齊田興哉・日本総研 総合研究部門マネジャー

齊田興哉 [日本総研 総合研究部門マネジャー]
2015年11月24日
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ヴァージン・ギャラクティック社の「SpaceShipTwo」。世界初の民間宇宙飛行サービスを目指し開発中のスペースプレーン
出所:Virgin Galactic

「H-IIAロケット29号機」打ち上げ(11月24日)、「はやぶさ2」地球スイングバイ(12月3日)、「あかつき」金星周回軌道投入(12月7日)──。これから12月上旬にかけ、日本の宇宙開発において注目のイベントが続く。そこで3回にわたり、「日本の宇宙ビジネス」の現状と今後進むべき道を解説する。筆者の齊田興哉氏は、宇宙航空研究開発機構JAXAで人工衛星の開発プロジェクトに従事した経歴を持つ、宇宙航空事業の専門家である。

本日打ち上げの「H-IIAロケット29号機」は
日本の宇宙ビジネスの転換点を象徴

 本日11月24日、日本の宇宙ビジネスに関する注目のイベントがあった。カナダのテレサット(Telesat)社の通信放送衛星「Telstar 12 VANTAGE」を搭載した、「H-IIAロケット29号機」が打ち上げられたのである。

 このH-IIAロケット29号機は、衛星を静止軌道により近いところまで運ぶことができるよう改良を行ったもので、衛星の燃料の消費を抑えその寿命を長くすることができる。顧客視点に立った“衛星にやさしい”サービスである。これは、世界に対抗するための日本の宇宙ビジネスのあり方をよく表しているニュースだと筆者は考えている。

 日本の宇宙ビジネスは、主に政府主導のプロジェクトとして技術開発中心で推進されてきた。それは、技術力で米国、欧州の水準に追い着け、追い越せという目標を掲げてのことに違いない。その活気あふれる様相は、池井戸潤原作でドラマ化された「下町ロケット」にも見ることができる。

 努力の甲斐あって、近年、ロケット打ち上げの成功率、人工衛星のミッション達成などに必要な技術力は、欧米と肩を並べる水準にまで達した。結果として現在は、ハードルの高い技術開発の必要性は希薄になり、技術開発を第1優先事項とする宇宙ビジネスは終焉を迎えつつある。

 それでは、日本はこれからどのようにして、宇宙ビジネスを展開していくべきなのだろうか。筆者の宇宙航空研究開発機構JAXAでの衛星開発の経験などを踏まえ、3回にわたり世界と日本の宇宙ビジネスの最新動向、そして日本の進むべき路について考察する。

 1回目は、まず世界の宇宙ビジネスの最新動向を紹介したい。そこから、日本の宇宙ビジネスが戦う相手の特徴が見えてくる。

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齊田興哉 [日本総研 総合研究部門マネジャー]

さいだ・ともや/2004年東北大学大学院工学研究科修了。工学博士。宇宙航空研究開発機構JAXAにて人工衛星の開発プロジェクトに従事。日系コンサルティングファームのe-solutions、外資系コンサルティングファームのロベンダルマサイ等を経て現職。現在、政府が進める人工衛星システムの整備に係る調査業務に従事。

 


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