「中間決算が開示された2000年度以降、売上高とすべての利益が過去最高となった」(渡辺英人・清水建設経理部長)。「(通期では)中期経営計画の水準を上回る見通しで、かなり出来すぎ」(奥田秀一・大成建設経理部長)――。
11月9、10日に相次いで公表された上場大手ゼネコン4社の16年3月期の中間決算。10月以降、上方修正が相次いでいたとはいえ、下図のように好調ぶりを物語って余りある結果となった。
理由は大きく二つある。まず、デフレ期に安値で受注し、その後の建設コストの急上昇により採算割れに陥っていた工事の多くが竣工期を迎え、彼らの手を離れたことだ。
次に、東日本大震災以来続いていた労務費の上昇が、今年3月以降は収まったこと。もっとも、労務費は高止まりしたままだが、その分を上乗せした受注が進んでおり、決算に反映されている。ゼネコンは従来、決算見通しを保守的に見積もる傾向があるが、今回の中間期で追加工事の契約が進み、これらを計上できた面は大きい。
結果、ゼネコン各社の決算は絶好調が相次いだ。とりわけ不採算工事を数多く抱えていたとされる鹿島ですら、他社に比べればまだ見劣りするものの、利益水準は前年同期と比べて大きく回復した。
とはいえ、順風満帆ぶりがこのまま続くとは、必ずしも言えそうにない。
というのも、東京都心の複数の大型開発プロジェクトや、東京オリンピック、パラリンピックの関連工事が16年度以降に本格化するとみられるからだ。一服感の漂っていた人手不足に再び拍車がかかれば、再び労務費が高騰しかねない。
ミスなら莫大な負担
加えて、何よりやっかいなのが、今や国民的な関心事となった建物を地中で支える「杭」のデータ偽装問題だ。