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山崎元のマルチスコープ

ギリシャショック後、の日本株をどう見るか

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第131回】 2010年5月26日
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 ギリシャの財政問題を切っ掛けに起こった、このたびの我が国も巻き込んだ世界の金融市場の混乱は、株価で見ると、2009年前半から続いた回復過程にあって、最大の下げ率を記録するに至った。

 日経平均で見ると、今年4月の高値11408円(以下、1円以下は切り捨て)に対して、ここまでに9693円、約15%の下げを記録している。一連の株価の下げは、現在の株価がこの安値近辺にあることからまだ「一段落した」と言える状況には見えない。

 今後の株価については、もちろん誰も確たることは言えない。

 日経平均を見ると、昨年3月に記録した7021円の安値からの回復トレンドは、8月にいったん10767円まで上昇した後に昨年11月に記録した9076円の安値を当面下回るのでなければ、一般的な株価グラフ上は一応の上昇トレンドを保っているように見る人が多いだろうが、もちろん、これは単なる値動きに対する印象に過ぎず、せいぜいがチャート読み(罫線分析)の一種であり、意味のある分析ではない。

 株価や為替レートのような「直接的に損得の対象になりうる取引価格」は、現時点で利用可能な情報から予想される将来の状況に基づいて形成されていて、刻々と変化しているので、プロもアマもほぼ等しく「有効な予想を形成することはできない」。一般に、いわゆるプロ以外の人々は、専門家ないし、「週刊ダイヤモンド」のような経済専門誌、あるいはテレビ番組に対してさえ、「普通の予想よりは意味のある」予想が可能なのではないかというイメージを抱きがちだが、これは事実と異なる。

 以上の点を認識した上で、例えば、個人投資家が、現時点で日本株についてどう考えたらいいかを、あくまでも筆者なりに検討してみる。
この際、
(1)ギリシャの問題を含む欧州の経済情勢とその影響をどう考えるか、
(2)現在の特に日本の株価水準を企業業績等の投資環境からどう見るか、
(3)今後の投資環境に変化を与える可能性のある主な要因に対する見方、
の大まかに三つの前提条件が必要だ。

 ギリシャ危機については、端的に言って、これが欧州経済最大の問題だとは思えない。ギリシャ単独の救済には過大とも見える円貨に直した総額が90兆円にも達する救済スキームを欧州諸国政府とIMFとの間で作り上げた様子を見ると、彼らの懸念は、欧州の他国のソブリン・リスクや欧州の銀行が抱える不良債権に対する懸念にあるように見えた。この懸念は、その後、拙劣にもドイツが単独で導入した空売り規制の対象に、同国の銀行株が含まれていたことから、ほぼ確認されたと言っていいのではないだろうか。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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