なぜ、川内原発は事故を起こすのか?

 そういう中で、8月11日に鹿児島県の川内原発1号機が再稼働しました。
 この危険性については、ダイヤモンド書籍オンラインで何度も書いてきましたが、川内原発は大事故目前にあります。今も大事故に向かって突進しています。続いて10月15日には、もっと危険な川内原発2号機が動き出しました。

 九州電力が川内原発の制御棒を引き抜いた。
 当日、私が現地で話したのが、次のことでした。

「この原発の中で働いている電力会社のオペレータの人たちは、悪気はないけれど、内心では、こわいと思いながらボタンを押しているのです。
 私も工場技術者、エンジニアだったので、よくわかるのですが、内部の人たちはわかっています。自分たちが、どれほど危険な原子炉のスイッチを押したかということについて、われわれよりよく知っています。なぜかというと、原子力発電所は、何千、何万とある部品と機器をたくさん集めた装置だからです」と。

 つまり、原発は、自動車の部品の比ではありません。自動車を何千台も集めたような設備ですから、部品が1つも壊れないなどということは、考えられないでしょう? 必ず故障します。現実に、自動車業界はリコールだらけです。ところが原発は、それを修理しながら運転している。つまり、高速道路を突っ走りながら、ブレーキ・テストをやっているのと同じです。部品が何千、何万とあって、しかも川内原発も伊方原発も、4年間、動かしていなかったのです。

 私は大手メーカーで、金属材料の腐食の研究をやっていたエンジニアなのでわかるのですが、この状態で動かせば、必ずトラブルを起こします。すぐに起こします。問題は、九州電力の社員たちは、全員が、箝口令を敷かれていますから、何かトラブルがあっても隠すということです。上から、再稼働の厳しい命令を受けていますので、ね。それが最もこわいことです。今も、表向きは動き出したように見えますが、すぐに事故を起こすと断言します。

 みなさんの中でエンジニアの方はご存じでしょうが、川内原発もほかのすべての原発も、海岸線にありますから、一番こわいのは海の塩分ですね。あれで金属が腐食します。

 みなさんはパソコンを使っているでしょうが、5年くらいですぐ壊れるでしょう? 詐欺みたいなトラブルで、すぐに買い換えなければならないため、絶えずお金を取られていますね。部品のなかでとりわけ危険なのは、電気回路です。昔でしたら、たいていの電気製品は、自分で分解して直すことができました。
 でも、今は何も直せないようになっている。今のパソコンは、われわれ技術者でも修理できません。回路の中の部品を交換しないといけない。そうした電気回路が山のようにあるのです。そうしたものが、原子炉の制御装置です。

 次に再稼働させようとしている伊方原発も、川内原発と同じ状態です。
 オペレータの人たちは必死になって検査をしているが、パーツごとにバラバラに検査しても、実際の危険性はわからない。

 制御棒を引き抜いて核分裂がはじまり、原子炉の内部が高温、高圧になります。そうした過酷な運転条件に突入して初めて、トラブルが判明するのです。原発のおそろしいところは、そのトラブルが1ヵ所だけでなく、あちこちで同時に起こってくることです。

 そんなことは、事態が深刻にならない限り、一切報道されません。しかし内部では、今もさまざまなトラブルが日々起きています。深刻になった時には、もう手遅れです。
 つまりわれわれは、大事故の生体実験にかけられているのです。
 それが現状です。ハッキリ言っておきますが、今にも第2のフクシマ原発事故を起こそうとしているわけです。

 長期間にわたって運転を止めていて、まともに動いた原発は、全世界で一基もありません。新潟県の柏崎原発も2007年の中越沖地震で、2年近く止めていて、強引に動かしましたが、すぐに止まりました。長く止めておいたものは、特に危ないのです。

 しかも、川内も伊方も、日本最大の活断層の上にあるわけです。
 ご存じのとおり、日本列島の火山活動と地震活動が止まりません。鹿児島県では、桜島と、霧島連山の新燃岳と、口永良部島など噴火活動が続いています。大噴火と大地震は対になっていますので、刻々と事故が目前に迫っている。今は、こんなような状況です。