たくさんの過去問にあたるほど答えが見えてくる

樺沢 もう一歩踏み込んで言えば、過去問から出題傾向を掴むところまでできるといいですね。過去思考ではなく未来思考というか、これからどんな問題が出るのかを自分で予想する。他人が分析した傾向じゃなくて、自分で体感してこそだと思います。

佐藤 そうですね。試験の直前だったら、過去問を暗記するだけでもいいかもしれませんが、過去問を暗記しながら傾向をつかんで、そこからさらに教科書や参考書に落とし込んでいく、というやり方ができるといいですね。

樺沢 問題の傾向とか特徴ってどうみてもあるし、わかりますよね。そこから出題者の意図を推測できると思うんです。

佐藤 たくさんの過去問にあたればあたるほど、それが見えてきますよね。先生の本のなかで「最後は直感を信じて本を選ぶ」というのがありましたが、それもたくさん本を読んでこそ、直感が磨かれるんですよね。

樺沢 本来、直感は無意識からきているんですね。無意識は、言語化できない経験のデータベースによって瞬時に見つけられた答え。意識にのぼっていないけれど、意識の裏側で答えを導いているんです。

 「ファーストチェス理論」っていう面白い研究があるんですが、チェスの名人に盤面を見せて次の手を考えてもらったところ、30秒で思いついた答えと、1時間考えて決めた答えは、86%が一致したそうなんです。

 つまり、たくさんの経験がある場合、直感は正しい。本をたくさん読んでいる人は、直感を信じていいんです。

佐藤 勉強でも、過去問をたくさん見ているほど、実際の試験でひらめきが生まれ、直感で答えが導き出せるんだと思います。