本連載は、誰にも邪魔されない「自分だけの3時間」の作り方をお伝えするものです。著者は税理士の木村氏。残業続きで終電族だった木村氏は、いかに自分の人生を取り戻したのか? 人生と仕事の超整理法をお伝えします。本日のテーマは「残業」です。

残業続きの毎日。
どうすればいいのか?

 はじめまして。税理士の木村聡子と申します。本連載は、私が行ってきた仕事の工夫やスピードアップメソッドをお伝えするものです。そして目的は、みなさんに「自分だけの自由な時間」をお作りいただくこと。

「自分だけの時間」を作るために、最初にすべきことは何でしょうか?それは生活リズムを整えることです。「時間がない」「忙しい」「残業続き」という方の多くは、残業を前提とした生活リズムが習慣化してしまっています。「朝起きる→仕事に行く→定時終了→残業開始→夜遅くまで働く」という1日の流れが、定着してしまっているわけです。生活リズムを少しずつ変え、悪い習慣をなくしていきましょう。

 実は私も、「残業続きで、終電帰り」が習慣化していた人間でした。朝は6時に起きて、帰りは毎日終電。仕事を効率化しても、残業を前提とした生活リズムが習慣化していたため、なかなか残業を減らすことができませんでした。

仕事を効率化しても、残業は減らない。<br />キーワードは「脱・習慣」最も危険なのは、残業を前提にした生活習慣!

 そんな私が、自分の時間をもつために最初にやったこと。それは前業の習慣をつけることでした。これは例えば、「残業時間の30分を、始業前に仕事をする30分に変えましょう」という提案です。

 定時の9時に出勤してしばらくは、従業員からの報告や相談、顧客からのメール処理に追われ、気がつけば既にお昼。自分の仕事がこなせるのは午後から……。そんな毎日を変えるべく、前業を意識的に行うようにしました。

 最初にしたことは、「催促や問い合わせが来そうだ」という顧客に、先手を打って連絡や回答をすること。受け身で仕事をすると、1日のリズムが崩れてしまうので、先手を打つ時間に「朝」を使ったわけです。その結果、従業員に対し、笑顔で余裕をもって接することができるようになりました。これが、私がダラダラ残業の日々から一歩前進するきっかけとなったのです。

残業が与える3つの悪影響を
考える

 次に、前業を行い、残業を減らすべき理由について、詳しくお話しします。

 まず本来、定時(終業)以降の時間は、職場に拘束されない自分自身の時間です。それを「残業」という形で職場に捧げるのを当たり前とするのは、もったいないと思います。私は15時以降を「投資の時間」とし、本業以外のことや自分を豊かにすること(教養、新規ビジネス模索、趣味、家族サービス)にこの時間を使うと決めています。そして18時以降については、仕事は極力やりません。

 そして2つ目、「前業」は残業よりも少ない時間で効率よく仕事ができます。始業前は訪問客も電話もなく、仕事が進みやすいことと、心や身体の疲労度が低いからです。そして何よりも「始業までに〇〇をやる」と時間に限りがあることを強く意識するので、残業よりもだらけにくく、その分仕事が早く終わります。逆に残業は、「まだまだ時間がある」と錯覚しがちです。

 最後の3つ目は、職場の人たちや顧客に先がけて仕事をすることで、1日を自分のペースで送ることが可能になる、ということです。みなさんも「そろそろあのお客様から連絡がありそう」「今日あたり上司に『あの報告書はどうなってるの?』と聞かれそう」というカンが働くことがありますよね。出勤早々このカンが当たり、相手から連絡や問い合わせがあると、仕事のペースが乱されます。残業続きで始業ギリギリ出社だと、起こりがちです。「前業」はこうしたとき、先手を打つのに使えます。始業前にこちらから連絡を入れておいたり、要求されるであろう資料を送信しておけば、自分のペースを守ることができます。

 この「前業」、みなさんが実践する際は、最初はムリのないよう10分でも20分でもいいので、始業前にちょっと仕事をするクセをつけることから始めてください。そうすると、その日のスタートダッシュの効きが明らかに違うことを実感できるでしょう。