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このままでは世界に勝てない
日本の宇宙ビジネスが抱える弱点

齊田興哉・日本総研 総合研究部門マネジャー

齊田興哉 [日本総研 総合研究部門マネジャー]
2015年12月7日
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12月7日、金星軌道投入に再挑戦する金星探査機「あかつき」(想像図)
出所:JAXA

宇宙航空研究開発機構JAXAで人工衛星開発プロジェクトに従事した経歴を持つ筆者が、「宇宙ビジネス」を考察するシリーズ第3回。最終回の今回は、日本の現状と課題を整理し、その解決策と進むべき途を見る。

 本日12月7日も、宇宙に関して大きなニュースがある。金星探査機「あかつき」が、金星周回軌道への投入を再度試みる。「あかつき」は、金星の大気の動きを観測することを目的に2010年5月21日に打ち上げられ、ちょうど5年前の同年12月7日に金星周回軌道への投入を試みたが、これに失敗した。しかし今度は、不具合が発生している主推進エンジンは使わず、姿勢制御用エンジン8本のうち4本を使用して金星周回軌道投入へ再挑戦するのである。

 「日本の宇宙ビジネス」の進むべき途を考察するこのシリーズの、第1回では世界の最新動向、第2回では日本の最新動向を紹介した。第3回の今回は、日本の課題、そして解決策を見ていこう。

米国の宇宙予算規模は15倍
日本と世界の大きな隔たり

 日本と世界の宇宙ビジネスを比較したとき、どれくらい差があるのかご存じだろうか。まず、宇宙予算の規模をご覧いただきたい(図表1)。

 年によるばらつきはあるが、2014年度の宇宙国家予算では、米国約5兆円、欧州約6000億円、ロシア約5000億円、日本は約3000億円の規模である。米国の予算は日本の約15倍、欧州は約2倍、ロシアは約1.7倍だ。主要国の宇宙予算と、日本のそれには大きな隔たりがあることがわかる。

◆図表1:日本と世界の宇宙国家予算の比較(2014年度)

*欧州は、欧州気象衛星機構(EUMETSAT)、欧州の軍関連の宇宙予算、フランス国立宇宙研究センター(CNES)、ドイツ航空宇宙センター(DLR)、イタリア宇宙機関(ASI)、スペイン国立航空宇宙技術研究所(INTA)、イギリス宇宙局(UKSA)などの予算を考慮している事例もあるが、欧州宇宙機関(ESA)の予算とした。1ドル120円で換算。
出所:The Space Reportなどから日本総研作成

 次に、日本と世界のロケット打ち上げ機数のデータをご覧いただきたい(図表2)。

 ロシア、米国は、年間約20~30回のロケットの打ち上げ機会を有している。つまり、1年間52週とすると、2週間に1回程度ロケットが打ち上げられている計算になり、非常に高頻度であることが理解いただけると思う。一方で、日本のロケット打ち上げは年間1、2回程度、2014年のような多い年で4回というのが実情である。

◆図表2:世界のロケット打ち上げ機数の比較(2014年度)

*( )内は世界の打ち上げ機数に占める割合
出所:科学技術動向研究センター「2014年の世界の宇宙開発動向」から日本総研作成
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齊田興哉 [日本総研 総合研究部門マネジャー]

さいだ・ともや/2004年東北大学大学院工学研究科修了。工学博士。宇宙航空研究開発機構JAXAにて人工衛星の開発プロジェクトに従事。日系コンサルティングファームのe-solutions、外資系コンサルティングファームのロベンダルマサイ等を経て現職。現在、政府が進める人工衛星システムの整備に係る調査業務に従事。

 


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