世界中の秀才がライバルになる時代

で、それに加えて必要になるもう1つの条件が「情報を理解する力があるかどうか」です。要するに、お勉強ができるかどうかということであって、いわゆる高学歴者が優勢に立ててきたのは、ここにアドバンテージがあったということですよね。

だけど、学ぶことだけで優位に立つのって、どんどん難しくなってきていますよね。さっき申し上げたように、経営に近いところに行けば行くほど理解力とか学力というのが必要なくなってくるってこともあるんですが、あとは、競争環境の変化ですよね。これまでだったら日本国内で競争して「おれは東大だ」「お前は早稲田だ」とやっていればよかったのが、これからはグローバルレベルでの競争が始まってくる。

中国は13億、インドは15億人、インドネシアでも3億近くなんて言われていますけど、日本は1億人ちょっとなわけです。そこでちょっとくらい偏差値が高くても、世界に出てしまえば、敵わない人間はごまんと出てくる。ですから、ワールドワイドのビジネス競争を考えたときには、もう「学ぶ」で優位性をつくるのはもう難しいと思ったほうがいいんじゃないかなと。だから僕たちは「考える」について、そろそろ真剣に考えないとやばいですよ、と——そういうわけなんですね。

優れたアイデアの条件

じゃあ「考える」って何をするのか? もちろん「アイデア」を出すわけですよ。「学ぶ」の世界では「正解」を出すわけですけど、「考える」の世界では「アイデア」を出す
アイデアっていうのは絶対的な正解がありませんから、相対値の世界ですよね。じゃあ、「いいアイデア」ってどういうものかというと、これは「敵よりもいいアイデア」である、と。あるいは、かつての自分が出し得たよりもいいアイデア、と言ってもいいかもしれない。

では「よりいいアイデア」を出すためには、何が必要なのか? どうですか?

(会場)じっくり考える?

う~ん、ちょっと曖昧ですね。今日はこれも答えを言っちゃいますけれど、まずは「広いアイデア」を出さないといけない。相対的なものの最高値を高めたいんなら、やっぱり裾野を広げるしかないんです。これはアイデアだろうと、人材だろうと同じです。やっぱりすそ野が広ければ広いほど、頂点が高くなりうる。

たとえば、中国なんていうのはスポーツがどんどん強くなってますけど、これって基本的にはやっぱり中国の人口が多いからですよ。アイデアも同じことが言えるわけです。

じゃあ、アイデアが「広い」っていうのはどういうことを言うのか? これって「数が多い」ってこととまったくイコールではないですよ。似たようなミニアイデアがたくさんあっても、それは広いとは言えない。

そうではなくて、アイデアが「多様」で「多岐にわたっている」という状態を実現しないといけない。もちろん、アイデアの多様性が高まれば、数そのものも増えてくるわけですが。