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シフト 2035年の未来
【第9回】 2015年12月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
マシュー・バロウズ,藤原朝子 [学習院女子大学]

日本・韓国が先進国になれた理由と中国が陥るジレンマ

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大統領の指針ともなる最高情報機関・米国国家会議(NIC)。CIA、国防総省、国土安全保障省――米国16の情報機関のデータを統括するNICトップ分析官が辞任後、初めて著した全米話題作『シフト 2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来』が11月20日に発売された。日本でも発売早々に増刷が決定、反響を呼んでいる。NIC在任中には明かせなかった政治・経済・軍事・テクノロジーなど、多岐に渡る分析のなかから本連載では、そのエッセンスを紹介する。

第9回では、かつての新興国が直面した「中所得国の罠」から日本・韓国、そして中国が抱える課題を分析する。

中国が陥る「中所得国の罠」

多くの国と同じように、中国でも人口の高齢化が始まっており、そのペースは2020年にかけて加速するだろう。現在、65歳以上が総人口に占める割合は8%だが、2030年には16%を超えるだろう。

これに対して生産年齢人口(15〜65歳)は72%のピークをすでに超えており、2030年には68%まで低下するだろう。15〜20歳の割合は現在30%程度だが、2030年には21%まで落ち込むだろう。もちろん生産年齢人口が減っているのは中国だけではない。日本、韓国、ドイツなどの先進国はもっとひどいことになるだろう。

中国政府はこの問題を認識している。しかし、一人っ子政策を完全に撤廃しても、長年続いた低出生率を大幅に引き上げられるか、専門家は疑問視している。中国では都市人口が増えているが、世界的に見ても、人口の都市化は出生率の低下と結びついている

中国は中所得国の罠に陥っている。多くの中南米諸国も1980年代に同じような状況に陥り、構造改革を怠ったのと、所得格差を放置したために、その罠に深くはまり込んだ。

中国の指導部は、高付加価値産業を育成することによって中所得国の罠を脱出する戦略だ。科学技術を推進し、ナノテクノロジーや幹細胞研究の分野を育成している。中国企業は新たなテクノロジーや管理手法を求めて、海外に進出し始めた。

中国の対外直接投資も増えている。こうした措置は現在の中国の開発レベルでは論理的なものであると同時に、高付加価値経済に移行するための、おそらく唯一の方法だろう。

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米国の最高情報機関であるNIC(国家情報会議)の元分析・報告部部長。直近の2号である『グローバルトレンド』(2025/2030)で主筆を担当。ウェズリアン大学(学士号)とケンブリッジ大学(博士号)で歴史学を学ぶ。1986年にCIA入局。2003年にNICに加わる。28年に渡って国家情報アナリストとして活躍。リチャード・ホルブルック国連大使の情報顧問を務めたこともある。2013年に辞任し、現在は「アトランティック・カウンシル」戦略フォーサイト・イニシアチブ部長を務める。ワシントン在住。

 

藤原朝子[学習院女子大学]

 

学習院女子大学非常勤講師。フォーリン・アフェアーズ日本語版、ロイター通信などで翻訳を担当。訳書に『撤退するアメリカと「無秩序」の世紀』(ダイヤモンド社)、『ハーバードビジネススクールが教えてくれたこと、教えてくれなかったこと』(CCCメディアハウス)、『未来のイノベーターはどう育つのか ―― 子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの』(英治出版)など。

 


シフト 2035年の未来

大統領をも動かす米国最高情報機関NIC元トップ分析官が、「2035年」の未来を徹底予測! CIA、国防総省、国土安全保障省……米国16の情報機関を統括し、未来予測・分析を行う諮問機関が、国家情報会議(NIC)です。政治・経済・軍事・テクノロジー、あらゆる領域からNICトップ分析官が在任中には明かせなかった不都合な「シフト」を分析します。

「シフト 2035年の未来」

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