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シフト 2035年の未来
【第5回】 2015年11月30日
著者・コラム紹介バックナンバー
マシュー・バロウズ,藤原朝子 [学習院女子大学]

20年後、アジアは欧米を越える経済の中心地になる

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大統領の指針ともなる最高情報機関・米国国家会議(NIC)。CIA、国防総省、国土安全保障省――米国16の情報機関のデータを統括するNICトップ分析官が辞任後、初めて著した全米話題作『シフト 2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来』が11月19日に発売された。在任中には明かせなかった政治・経済・軍事・テクノロジーなど、多岐に渡る分析のなかから本連載では、そのエッセンスを紹介する。

第5回では、世界経済の2035年への「シフト」の正体を明らかにする。中国のみならず、それを上回る潜在力を秘めるインドやコロンビア、インドネシア、メキシコ、トルコ、ブラジルなどの新興国の台頭は非「西」側世界へのパワーシフトを加速させる。

アジアが世界の「パワー」の中心地になる近未来

いまはすべてが大きく変わった。グローバルパワーの四つの尺度(GDP、人口、軍事費、技術投資)によれば、2030年までにアジアは北米とヨーロッパの合計を抜き、世界のパワーの中心になる。中国は2020年代に世界一の経済大国になりそうだ。世界経済と政治でもアジアの重要性が高まり、18世紀以来のヨーロッパと西側の優位は崩れようとしている。

その一方で、コロンビア、インドネシア、メキシコ、トルコ、ブラジル、南アフリカ、ナイジェリア、さらにはイラン、エジプトなど非西側諸国(少し前まで「第三世界」と呼ばれていた国々だ)も、向こう10〜20年で大きく台頭する可能性がある。このことは中国やインドといった大型新興国の台頭と同じくらい重要だ。いずれも中国やインドほどの「大国」にはならず、2番手にとどまるだろうが、グループとしてはヨーロッパ、日本、ロシアを超える一大勢力になるだろう。さらにグローバルパワーの四つの尺度で、2030年までにEUを追い抜くだろう。この中型新興国のグループと中国とインドという大型新興国をあわせると、西側から新興国すなわち非西側世界へのパワーシフトは一段とはっきりする

このグローバルなパワーシフトを受け、今後20年間は地域的なパワーシフトも起きるだろう。中国はすでにアジアで大国の地位を固めつつある。2030年には中国のGDPは日本の約1.4倍に達するだろう。その頃には中国は世界最大の経済大国となり、インドをリードしている。しかし中国の成長が鈍化すれば、インドとの差は縮まるだろう。ただしそれは、インドが早期に構造改革に着手して、近年の低迷を脱出することが条件になる。2030年のインドは、過去20年間の中国のような高度成長国になっている可能性がある。他方、中国の成長は現在の水準(7〜8%)を大幅に下回るだろう。

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米国の最高情報機関であるNIC(国家情報会議)の元分析・報告部部長。直近の2号である『グローバルトレンド』(2025/2030)で主筆を担当。ウェズリアン大学(学士号)とケンブリッジ大学(博士号)で歴史学を学ぶ。1986年にCIA入局。2003年にNICに加わる。28年に渡って国家情報アナリストとして活躍。リチャード・ホルブルック国連大使の情報顧問を務めたこともある。2013年に辞任し、現在は「アトランティック・カウンシル」戦略フォーサイト・イニシアチブ部長を務める。ワシントン在住。

 

藤原朝子[学習院女子大学]

 

学習院女子大学非常勤講師。フォーリン・アフェアーズ日本語版、ロイター通信などで翻訳を担当。訳書に『撤退するアメリカと「無秩序」の世紀』(ダイヤモンド社)、『ハーバードビジネススクールが教えてくれたこと、教えてくれなかったこと』(CCCメディアハウス)、『未来のイノベーターはどう育つのか ―― 子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの』(英治出版)など。

 


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「シフト 2035年の未来」

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