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「世界一速い会社」の秘密
【第7回】 2015年12月15日
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竹田正俊

「未来の自分」ができるだけ手をつけやすいように、整えておく

「史上最速」の会社に学ぶ、速さの秘密。今回は、速さを実現するために当社でつくっている「仕組み」をご紹介します。

打ち合わせでの「持ち帰り」を極力なくす

 仕事を遅くしている要因のひとつに、会議や打ち合わせでの「持ち帰り」があります。

 「とりあえず社に持ち帰って検討します」というプロセスが、大きく仕事を減速させるのです。

 うちのデザイナーは、クライアントが考えているイメージを打ち合わせの場ですぐに絵にして見せるようにしています。

 たとえばクライアントから「ライバルのA社のああいう製品があるんだけど、あれよりも薄くて軽くてコンパクトなものがほしいんです」とリクエストがあったとします。そういうときは、その場でサーッとスケッチを描いてしまいます。つまり平面上の「たたき台」をつくるのです。

「いったん持ち帰る」ことで仕事はどんどん遅くなる

 「こんな感じですか?」「いや、違うなあ……」「じゃあ、これですか?」「あっ、そうそう、そんな感じ」といった具合に、何度か描き直しながら進める。だいたいの方向が見えたら、さらにその場で絵を描き込んでいく。

 すると、打ち合わせの1、2時間のあいだで、輪郭がはっきりと見えてきます。私たちは「オンサイト・スケッチ」と呼んでいます。その絵を会社に持ち帰って、すぐに実際のイメージをCGで描いていくのです。

 打ち合わせという機会は、とても貴重な機会です。仕事相手と面と向かって長いあいだ話せるわけですから。また、打ち合わせを一回行うと、移動時間も含めて何時間もかかる場合もあります。それだけの時間がかかった分だけ、仕事はちゃんと進んだのか、その「仕事の飛距離」を意識しないといけません。

 よって、打ち合わせの場でクライアントの話を聞き、「それじゃあ次回の打ち合わせまでにデザインを検討しておきます」では、時間は短縮できませんし、時間がもったいないでしょう。

その場でやれることはすべてやるのが、速さを追求するためのコツなのです。

未来の自分が動きやすいようできるだけ準備する

 打ち合わせの場ですぐにデザインできるのは「事前に準備しているから」でもあります。

 私は、あらかじめできるところまで準備しておくことを「あらかじめ戦略」と呼んでいます。当社では、この「あらかじめ戦略」を徹底しています。

 たとえば、クライアントがリモコンの試作を望んでいるとします。それがテレビのリモコンか、ゲーム機のリモコンかによってもデザインは大きく異なりますし、使うのが高齢者か子どもかによっても違ってくるでしょう。ボタンが多めのほうがいいのか、最低限に抑えたいのかによっても変わります。

 しかし、「リモコンの試作」と決まった時点でできることはたくさんあります。どんなリモコンであれ、ベースとなるカタチはほぼ決まっているからです。かならず電池が入る場所がいるし、そのカバーのフックが入るところもいる。赤外線が出るところも必要でしょう。また、持ちやすくするためのラウンド形状も、たとえば「R5」などといった数字で決まっているのです。

 クライアントの要望や過去の実績、材料や資料など、すべてをそろえてから、ああでもない、こうでもないと検討していては、時間がいくらあっても足りません。どれだけ先が読めるかによって、仕事全体の速さは決まってきます。

 できるところまで準備しておく。「未来の自分」ができるだけ手をつけやすいように、整えておくことが大切なのです。
 

 「最速の会社」の秘密はいかがだったでしょうか? あなたの仕事やチームの仕事をスピードアップさせるヒントにしてください。

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竹田正俊

"株式会社クロスエフェクト代表取締役。1973年京都市生まれ。大手企業の下請け企業を経営していた父を見て、これからは「量よりもスピード」の時代が来ると考え、2000年、試作専門の会社「クロスエフェクト」を創業。徹底した「開発工程の短縮化」「時短」により試作品をどこよりも速く提供することをミッションとする。2009年、心臓など臓器の3Dモデルを開発し、テレビ東京系「カンブリア宮殿」などで紹介され、話題となる。2013年、「ものづくり日本大賞」にて最高賞である内閣総理大臣賞を受賞。「世界最速の会社」として日々、スピードの追求を続けている。


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