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山崎元のマネー経済の歩き方

「危機」を商売にする人たち

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第131回】 2010年6月7日
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 ギリシャの財政問題に始まった今回の経済的混乱は、資本市場に大きな影響を与えた。本稿執筆の時点では、日経平均も、ニューヨークダウも1万の大台を割り込んでいる。リーマンショック以降の一連の危機ほどではないが、今回の変動で損を被った投資家は少なくないだろう。

 一方、こうした「危機」を感じさせるイベントが起こったときに、妙に活性化する一群のビジネスがある。

 一例を挙げよう。運用で失敗して大きな損を抱えた厚生年金基金があるとすると、この基金が「損を取り返そう!」とする気持ちをビジネスチャンスととらえる人たちがいる。たとえば、ヘッジファンドだ。彼らは「株価とは相関の小さい運用として」とか「株価の下落でも収益を上げることが可能な投資戦略」といった甘言を弄して、行き詰まった年金基金の担当者を狙う。総合型基金(同じ業種等の企業が多数集まってつくっている基金)の場合だと、解散も掛け金引き上げもままならないケースがあり、しばしば、「最後のひと勝負」に打って出る(本当はリスク運用をやめて、基金解散を模索するほうがよいのだが)。

 行動経済学は、損をしている場合に人間がリスクのより大きい状態を好む傾向があることを指摘しているが、ヘッジファンドの提供者側から見ると、大損を抱えた年金基金と運用担当者は、格好のマーケティング・ターゲットだ。

 官庁も広義のビジネスだと考えると、なんとしても「増税」を行いたい官僚たちの意を受けて、「日本の財政はギリシャ並みかそれ以上に悪い」とあおる宣伝が盛んだ。

 日本財政に問題がないとはいわないが、それは当面、財政赤字よりも非効率的な財政支出のほうだ(民主党公約の公務員給与の2割削減はどうなったのだろう?)。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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