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外資系エリートがすでに始めているヨガの習慣
【第15回】 2015年12月22日
著者・コラム紹介バックナンバー
竹下雄真 [デポルターレクラブ代表]

<独占インタビュー>
ライオンズ最多勝投手・十亀剣 「完全復活への道」 

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 埼玉西武ライオンズの十亀剣投手は言う、「高校のとき補欠でなかったら、今ここにはいないかもしれない」。イチローや工藤公康らを輩出した名門校では甲子園に出場したもののエースになれず、プロからも声がかからなかった。その後、JR東日本に就職し、都市対抗に導いたことなどから2012年ドラフト1位で埼玉西武に入団する。遅咲きのプロ人生のスタートである。

 プロ1年目は6勝0敗の“不敗神話”を残し、2年目も順調だった。ところが、3年目に股関節を故障し、シーズンの途中で一軍の戦線を離脱している。しかし、4年目の今年は見事に復活を果たし、チーム最多の11勝を挙げる。

 二軍落ちし、そのまま低迷する選手も多い中、再び第一線に浮上し、結果を出せた秘訣はどこにあるのか。その陰にあったのは、意外にもヨガだった。

(取材・構成:大畠利恵、写真:宇佐見利明)

ヨガがチーム最多勝を導いた!?

――十亀投手は、うちのジムでトレーニングをしている中で、骨盤まわりのアライメントをよくしていこうとヨガを勧めたのがスタートでしたね。

十亀 2014年に股関節あたりのケガをしまして、それで半年間シーズンを棒に振ってしまったんです。そのときに、やっぱり「股関節の柔軟性が足りないんじゃないか」と思ってデポルターレクラブの竹下さんに相談したところ、ヨガのスタジオをつくるという話を聞いて、ちょうどいいタイミングだと思ってやり始めました。この一年半、週一回のペースで続けています。

――最初、ヨガを勧められたときはどう思いましたか?

十亀剣(とがめけん) 1987年愛知県生まれ。2012年にドラフト1位で埼玉西武ライオンズに入団。強気の攻めで打者を打ち取るサイドハンド右腕として活躍。2015年、勝利数11と投球回数152回はどちらもチーム最多。(C)SEIBU Lions

十亀 今までやったこともなかったですし、女性がやっているイメージだったんで、若干気恥ずかしい部分もありましたね。

 でも実際にやっていくうちに呼吸とか、姿勢の大切さを教わって。もともとちょっと猫背になったりする部分もあったんで、そういう細かいところを意識する練習を普段しないので、気づかせてもらえたのは発見でしたね。

――具体的に効果が現れるようになったのは、いつぐらいからですか。

十亀 そうですね。効果は、なかなか目に見えて出てはいないんですけども、今年は最後までケガすることなく一年間できたというのは、ヨガの成果が出たんじゃないかなとは思っています。

――体には何か変化がありましたか?

十亀 深い呼吸をしながら、股関節や肩が柔軟になるようなポーズをとったり、体幹を鍛えるポーズをとっているので、柔軟性は高まったかもしれません。

ヨガは負けた日の翌日に気持ちをリセットできる

――例えば登板の前に呼吸を整えるとか、野球のゲームでヨガが役立つことはありますか。

十亀 そうですね。先発前に一回ピッチングをするんですけれども、その前に重心を下に下ろすような動きを取り入れながら体を動かしていた部分もあります。でも、それ以上にメンタルの面でリセットできたのが大きかったです。

――バッターに打たれたときに、新聞の見出しを見たりスポーツ番組を観て落ち込んだり、負けたことがずっと頭に残る選手もいます。十亀投手のように一流の選手には、何か好きなことに集中する時間というのがすごく大事だと思うんですよね。

十亀 僕は、今季は先発投手という立場で週一回しか投げない役割だったので、残りの6日に1回気持ちをリセットするためにこのスタジオに来ています。なんていうんですかね、ヨガの時間は、自分の心と向き合う時間でもあるんです。普段のトレーニングではそういうことは考えないんですよね。今、自分の体がどういう状態かっていうことにしか目が向かないんで。だからそういう意味では、心のリセットっていうことになるのかなとは思っています。

 でも、それはスポーツ選手だけじゃなく一般の方もそうじゃないかな、と。いろんなことが毎日起きますから、一回心を無にするというのはいいことかなとは思います。 

――ヨガを始めるまでは、負けた翌日はどうやって気持ちを切り替えてたんですか。

十亀 日によって違いますけどね。もともと、あんまり僕は私生活に野球を持ち込まないようにしていて、グラウンドでだけ野球のことを考えるタイプなんです。

 ほかの選手のなかには私生活に持ち込む人もいて、負けた原因は何だ、打たれた原因は何だ、と考えてどんどん気持ちが下向きになっていってしまう。そうならないようにするにはやっぱり気持ちの切り替えというのが大事になると思うんです。それを吹っ切るために、今はヨガをやっている感じですね。

――うちのスタジオは、ほかにも第一線で活躍している選手がトレーニングに来るんですけれども、彼らはやってみてよくないものは続けないんですよ。そんな時間は無駄だから、その辺はハッキリしてますね。

 僕は十亀投手にも「やってみたらどうですか」とは勧めたけれども、絶対これを続けないといけないとは言いません。それでも続けているのは、何か感じるところがあったんじゃないかな、と思っています。

十亀 僕は、休みの日を利用してよく来るんですけど、休みの日に一日何もしないで、ただ家で寝てるだけっていうのがちょっとイヤで。多少なり体を動かすことでリフレッシュにもなりますし、ストレッチにもなりますし、いろいろな効果はあるんじゃないかなと感じています。今はまだ、探りながらやってる状態ですけれども。

――お気に入りのヨガのポーズはありますか。

十亀 お気に入りは特にないんですけれど、僕は職業病で肘が全然伸びきらないんで、ダウンドッグというポーズはめちゃくちゃしんどいです。いつもプルプルしながらやってます(笑)。

 僕、一般の方々と一緒にヨガをしていて、あの人は柔らかいなとか、ああいうふうになりたいなって思うときはありますね。だから、いい刺激になる。職業もまったく違う方達ですし、それでも気さくに声をかけていただけるのが、また励みになりますし。いい場だなあとは思ってます。

――一緒にやっている方たちのほうが、ラッキーだと思ってますよ(笑)

エースとしての自覚が芽生えてエースになれた

――十亀投手は、学生時代はあまり結果を残せてなかったようですが、社会人になってから残せるようになったのはなぜなのでしょう。

十亀 学生のときは漠然と野球をやっていたんだと思います。レギュラーになりたいという思いはあったんですけれども、なかなか結果に結びつかなくて。高校生の時は甲子園の試合には出て投げてますけれども、エースにはなれないままでした。大学でも1年の春から登板していたんですが、東都大学リーグ1部では1勝も挙げることはできませんでした。

 社会人になって一年目の秋に、ベテラン選手でエースだった方がケガをして、じゃあ次は誰が投げるんだってなったんです。そのとき、「やらなきゃ」と思った自分がいて、そこから頑張れた結果か運かわかりませんけれども、都市対抗に出て優勝したんです。それで認められて、プロ野球の世界に入れたんです。ホントに小さな意識の違いなんですけど、そういう部分で変われたところが、プロの世界に来られた理由かもしれませんね。

――エースとしての自覚が芽生えたということですね。

十亀 そうですね。エースにならなきゃという思いはそこから来てます。毎日同じ練習をするにしても、意識を持ってやるのとそうでないのとは違いますね。

 でも、ホントのことを言うと、僕ら野球部員は野球部を辞めたらJR東日本の駅員になるんですよ。普通に社業に就くんです。僕は、夜は12時までには寝たいと思うタイプなんですが、駅員になったら夜勤があるじゃないですか。それがちょっとイヤで(笑)、そのためにはプロにならなきゃという気持ちも少しだけありました。

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竹下雄真 [デポルターレクラブ代表]

1979年3月26日神奈川県出身。早稲田大学大学院修了。アメリカシアトルでパーソナルトレーナー研修に参加。帰国後、フリーのパーソナルトレーナーを経て、都内パーソナルトレーニングジムでマネージャーパーソナルトレーナーとして、多くの著名人やスポーツ選手、芸能人の肉体改造に携わる。退社後、大手広告代理店に在籍し、街づくりなどのソーシャルメディアやイベントを担当。その後、独立し株式会社ポジティブを設立。会社経営の傍ら、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科スポーツマネジメントコースでスポーツビジネスを学び、スポーツ修士課程を修了。2011年5月西麻布にプライベートパーソナルトレーニングジム、デポルターレクラブをオープン。2014年よりデポルターレヨガを開始。経営者や外資系ビジネスマン、政治家、プロ野球選手、F1選手も通う人気のプログラムとなっている。


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