ファミリーレストラン「デニーズ」を展開するセブン&アイ・フードシステムズが初の郊外型カフェ「白ヤギ珈琲店 多摩堤通り店」をオープンした。場所は“フタコマダム”が集う東京・二子玉川エリア。夜も楽しめる大人のカフェとなっている。

スタバも目をつけた高級カフェの聖地で
デニーズの「白ヤギ珈琲店」がオープン

 東急グループ主導の大規模再開発によってにぎわいを増している東京・世田谷区の二子玉川エリア。商業施設が集まる駅周辺には、情報感度の高い“フタコマダム”たちをターゲットにしたアパレル関連やレストランの最新業態が集まる。このエリアで12月3日、「白ヤギ珈琲店」という聞き慣れない名前のカフェがひっそりとオープンした。

 場所は二子玉川から成城方面へと続く多摩堤通り沿い。駅からは徒歩で30分ほどかかり、周囲にはところどころ畑も残る二子玉川エリアの端っこだ。もともとは「デニーズ」として営業していたが、こじゃれたカフェに生まれ変わった。

 スターバックスコーヒージャパンが2013年に住宅地向けの新業態「インスパイアード・バイ・スターバックス」の1号店を出したのもこのエリアで、周辺住民は日頃からカフェを使い慣れている。

「白ヤギ珈琲店 多摩堤通り店」ではパソコン用電源を用意したカウンター席、少人数向けのテーブル席、グループ向けのソファ席の3タイプを用意。ビジネスマンや女性同士、家族連れなど幅広い客層を集める

「白ヤギ珈琲店」も開業直後から繁盛しているが、これがデニーズと同じセブン&アイ・フードシステムズ(FS)の運営によるものだと知る人は少ない。内装には木材をふんだんに使い、間接照明で落ち着いた雰囲気を醸し出す店内は300平方㍍の広さに対して客席数を68席に抑えており、ゆったりと過ごすことができる。

 実は白ヤギ珈琲店はこれが1号店ではない。千葉県市原市や札幌市などに続いて5店舗目となる。レストランチェーンは一定の地域に店舗を集中して知名度を上げたり、運営効率を高めたりするドミナント出店が鉄則だが、白ヤギ珈琲店の出店地域はばらばら。その立地もビルの中、商業施設の中などさまざまで、今回の「白ヤギ珈琲店多摩堤通り店」は初の郊外ロードサイド型である。

 ペーパーでろ過しながら店員が一杯ずつ丁寧にいれるハンドドリップコーヒーやカフェラテなどコーヒー類の基本メニューは5店舗共通だが、デザートや食事のメニューはそれぞれ異なる。

 いい商品やサービスには多少高くても対価を払うことを惜しまないのが、フタコマダムに象徴されるこのマーケットの消費特性。このため、多摩堤通り店ではカフェ業態としては珍しく夜の食事メニューに力を入れている。ディナーの時間帯には「国産牛モモ肉のカットステーキ~胡椒ソース」(税別1388円)、「仔羊の香草パン粉焼き~グレービーソース」(1480円)といった本格的なメニューを味わえ、ボトルで2000~4000円台のワインの品揃えも充実させている。

「白ヤギ珈琲店は最初から個店独立型でいこうと決めていた。チェーンだからどの店も同じ顔を持つという発想ではなく、マーケットを徹底的に分析して、その街にふさわしいカフェを出していく」。セブン&アイFSの山瀬輝子取締役執行役員商品部長は、業態開発の狙いをそう語る。