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より危険な睡眠時無呼吸は
脳・心疾患のリスク増に

井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第275回】

 睡眠時無呼吸症候群と呼ばれる一連の症状がある。睡眠時にぴたっといびきや呼吸が止まり家族の気をもませる、というもの。

 十把ひとからげにされているが、「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」と「中枢性睡眠時無呼吸(CSA)」に大別される。

 OSAは肥満や骨格上の問題で、あおむけで寝ていると舌の付け根や首回りの脂肪が垂れ下がり、気道が物理的に閉塞して発生する。呼吸が止まった際に、何とか息を吸おうと無意識にあえぐのが特徴。睡眠時無呼吸症候群の9割以上はこのOSAだ。

 一方、CSAは脳の呼吸中枢の働きが落ち、気道が開いていても呼吸が止まるケース。心不全患者の3人に1人が合併しているとされ、危険な睡眠時無呼吸症候群ともいうべき代物だ。

 呼吸も特徴的で、無呼吸と過呼吸を周期的に繰り返す「チェーン・ストーク呼吸」が生じる。

 先日、睡眠時無呼吸のタイプと心房細動(不整脈)との関連を調べた研究が米国から報告された。

 調査では心房細動の既往がない高齢男性843例を対象に、睡眠ポリグラフ検査を実施。睡眠時無呼吸の有無を調べた後に平均6.5年間追跡している。登録時平均年齢は75歳、平均体格指数は27で、45%が高血圧だった。

 追跡期間中、99例が新たに心房細動を発症。睡眠時無呼吸のタイプとの関連を調べたところ、CSAの人は、睡眠時無呼吸ではない人に比べ発症リスクが2.6倍に上昇し、76歳以上の高齢者では10倍近くに跳ね上がったのだ。

 一方、OSAと心房細動との間では関連は認められなかった。

 心房細動そのものは命に関わる不整脈ではない。しかし、心臓内にうっ血した血の塊が血液の流れに乗って脳動脈を詰まらせ、「心原性脳塞栓症」という致命的な脳卒中を引き起こすリスクがある。心房細動を早期に発見し「脳卒中予防」を心掛けることが大切だ。

 ともあれ、睡眠時の無呼吸を家人に指摘されたら念のために循環器内科を受診してみよう。それ以前に、仲良く同室で寝ていることが条件ではありますが。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


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