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“情報が命”の金融から華麗なる転身
追随を許さぬ情報検索技術で勝負
フォルシア社長 屋代浩子

週刊ダイヤモンド編集部
【第114回】 2010年6月17日
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フォルシア社長 屋代浩子(撮影:宇佐見利明)

 「キーワード検索ではたどり着けない情報があって、違う方法が絶対必要。それがフォルシアの検索だ」──。システム開発を手がけるフォルシアの社長、屋代浩子はこう胸を張る。

 屋代が誇らしげに語るのは、「Spook」という情報検索システム。グーグルのようにキーワードをピックアップするかたちではなく、絞り込みをかける検索に特化したシステムで、結果が出るのがとにかく速い。同様の検索システムの50倍以上の速さといわれるほどだ。常にウェブサイト上の全データに当たったうえで、そのスピードを実現しているのだからすごい。

 たとえばSpookが導入されている旅行サイトの場合、旅行プラン、日程、予算などの条件を組み合わせると全部で100万通り以上もの組み合わせがある。それだけ膨大な量の全データに当たりながら、しかも画面をいちいち切り替えることなく、検索と結果の表示をほぼ同時に行えるのだ。
こうした快適な操作性が好評で、ある旅行代理店がSpookを導入したところ、商品購入や会員登録の件数が以前の1・5倍以上に上がったという。

金融で情報の価値を体感
起業の夢と結び付き創業後のビジネスが誕生

 型にはめられるのが苦手な屋代は、「一流会社に勤めるステータスより、自分がベストだと思うものを創り出して世の中に貢献したい」と、学生の頃から起業への想いを胸に秘めていた。

 バブル絶頂期に大学を卒業して就職。そこから約10年、金融漬けの日々を送ることになる。

 最初は野村證券に女性総合職の第1期として入社。金融の最前線でデリバティブ(金融派生商品)を扱う。その後、金融工学を学ぶため、米マサチューセッツ工科大学へ留学。授業でビジネスのノウハウを学ぶうちに、起業の夢が再燃した。

 卒業後は起業するための資金を貯めるため、ゴールドマン・サックス証券に就職。「ここで死ぬまで働こう」と、朝6時から夜2時頃まで仕事に没頭した。そんな日々を過ごすなかで感じたのは、情報が持つ価値の重さだ。金融の世界では、誰よりも速く必要な情報を手にしたひと握りの人間が、成功を収める。

 「速く必要な情報を手にすることは、普通の人にとっても重要ではないか」──。

 自分が楽しくても、世の中に必要とされる仕事でない限り成り立たないと常々考えてきた屋代は、ついにそれが両立できる「情報検索」という事業にたどり着き、2001年フォルシアを立ち上げ、長年の夢を果たす。

 しかし、会社を興してはみたものの、そこから苦しい下積み時代が待っていた。まずぶち当たった壁が技術開発。金融の知識こそあれ、ITに関してはほとんどゼロからのスタートだったからだ。屋代の頭の中には、すでにSpookに関する構想があったが、それを実現するための技術開発に3年近くを要した。

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