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高脂肪食でシナプスが消失?
動物実験での話ですが……

井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第277回】

 米ジョージア医科大学の報告によると高脂肪食は脳の免疫系を担う「ミクログリア」の暴走を促し、脳機能を損なうらしい。

 ミクログリアは、白血球の代わりに脳内の免疫機能を担う細胞。通常は監視役に徹しているが、神経細胞(ニューロン)に異常が生じると、ニューロンの成長因子を分泌して修復を促す。また、ニューロンが死んでしまった場合は、残骸を「掃除」する役割もある。

 ただ、ミクログリアの働きが行き過ぎると、正常なニューロンまでが破壊され、アルツハイマー型認知症や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患を招いてしまうといわれている。

 研究者らは、高脂肪食とミクログリアとの関係に着目。正常な雄マウスを2群にわけ、一群には総摂取カロリーの10%が飽和脂肪酸の低脂肪食を、もう一群には同60%の高脂肪食を与えた。総摂取カロリー数は同じだが、人でいう「健康的な食事」vs「ファストフード三昧の食事」に相当する。

 実験開始後の4、8、12週に、体重とインスリン分泌量、血糖値などの代謝機能を測定。脳機能に関しては、学習と記憶を司る海馬の機能を示す血清マーカーと、ミクログリアの活動量を示す炎症性物質のレベルを測定している。

 実験開始後12週までに「高脂肪食群」のマウスは肥満化し、脳内の炎症性物質の量が上昇。脳神経の接合部(シナプス)数も減少していたのである。

 この時点で、肥満マウスの半数を「低脂肪食」に切り替えて観察を続けた結果、体重が元に戻るのと並行してシナプス数の回復が認められた──回復までには2カ月を要したが。

 一方、高脂肪食にとどまったマウスたちは太り続け、かつシナプスを失い続けた。

 動物実験とはいえ少々、背筋が凍る話だが、本研究で脳機能に悪影響すると示されたのはラードや脂身に多い「飽和脂肪酸」。同じ脂肪でも魚類に含まれる「不飽和脂肪酸」は、逆にミクログリアを鎮静する作用があるといわれている。何を食べた方が脳に良いかは一目瞭然、ですよね?

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


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