「今使っている化粧品は本当に私の肌に合っているのだろうか?」「もっとぴったりの化粧品があれば、是非使ってみたい」

 そんな女性たちのホンネをすくい上げて、ブランド横断型のカウンセリングサービス「イケセイキレイステーション」を立ち上げたのが西武池袋本店(東京・池袋)だ。

 リーマン・ショック以降、節約志向が強くなり、ネット通販やセルフ業態への顧客流出などもあって、右肩上がりを続けていた百貨店の化粧品売場の売上が、2009年度はマイナスに転じた。そごう・西武(東京都千代田区)では、あらためて顧客ニーズがどこにあるのかを探るべく、カード会員や女性従業員にアンケートを実施したところ、「百貨店のカウンターは敷居が高く、買わされる感じがして苦手」「ブランドを超えてアドバイスをくれるコーナーがほしい」「さまざまなブランドを試せるコーナーを設置してほしい」という声が。それを解決し、百貨店の化粧品売場の敷居を下げようという試みが、イケセイキレイステーションだ。

 西武池袋本店に出店している28ブランドの研修を受けた西武百貨店の専門スタッフが肌解析をしたり、抱えているトラブルをヒアリング。予約制で50分もしくは20分のコースが選べる。専門スタッフは8人いて、常時、店頭に4~5人いる態勢だ。タッチパネルを使って10分でできるセルフカウンター(いずれも無料)も用意している。

 28ブランドのスキンケア化粧品をデータベース化しているので、50分コースの最後は肌質に合った商品を絞り込んで、参考資料として出力。各ブランドのカウンターで購入するか否かは自由なので、心理的負担は軽い。

 4月7日からスタートして5日間の実績では、50分コースを利用した62人中29人が購入に結びついており、「手ごたえを感じている」と同社商品部衣料品統括部婦人雑貨部チーフバイヤーの矢田康泰氏。

 さらに、メーカーの協力を得て、イケセイキレイステーション内にテスターやサンプル(有料)、スターターキット(有料)も準備し、まずは試して実感してから各ブランドで購入したいという女性のニーズにも対応している。こちらも好評だ。

 13坪ほどのスペースを使っているが、正面部分には各ブランドの限定キットなどを陳列。中に入ると美白や毛穴といった肌の悩み別に売れ筋商品を見られるようにして、テスターも置くなど積極的な情報発信に挑戦。百貨店でありながらセルフで情報を取得できるようにしている。

 矢田氏は、「売り込まない場をつくることで敷居を下げながら、的確な情報提供で売場につなげ、初年度は昨対比2ケタ増をめざしている」という。

 DgSなどセルフが主体の業態でも、現状はブランド展開が主流だ。しかし、これでは同質化を免れない。ブランド以外の切り口を持って「あなたの肌にはこれ」という提案が導き出せる売場づくりが求められているのではないだろうか?


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